富山高岡本店
芙蓉手とは?|お正月の器として使われてきた理由と、その美意識🎍✨
お正月に使う器といえば、金彩や赤絵をふんだんに用いた華やかな伊万里焼を思い浮かべる方も多いでしょう。
一方で、「芙蓉手(ふようで)」のような落ち着いた器は、お正月に使ってよいのか迷われることも少なくありません。
結論から言えば、芙蓉手は派手さで祝う器ではなく、構図と品格によって新年の席を整える器です。
本記事では、芙蓉手とは何かという基本から、江戸時代における位置づけ、そしてお正月の器としてふさわしい理由を、歴史と造形の視点から解説します。
芙蓉手とは何か|伊万里焼における位置づけ
芙蓉手とは、伊万里焼に見られる装飾様式の一つで、見込み中央に円文(花文など)を配し、その周囲を放射状に区画する構成を特徴とします。
この放射状の区画が芙蓉の花弁を思わせることから、「芙蓉手」と呼ばれるようになりました。
多くは染付を基調とし、部分的に色絵を添える程度の表現が中心で、全面を埋め尽くす装飾ではありません。
器全体に余白を残しながら、秩序だった構図でまとめる点に、伊万里焼らしい完成度の高さが見て取れます。
芙蓉手は、江戸中期以降の伊万里焼に多く見られ、日常器と改まった席の中間に位置する器として用いられてきました。
芙蓉手はお正月の器として使われてきたのか
江戸時代のお正月は、現代のように「とにかく華やかであること」が最優先されたわけではありません。
むしろ、整っていること、場が引き締まっていることが重んじられました。
芙蓉手は、祝祭専用の特別な器ではありませんが、
・節目の食事
・客を迎える改まった席
・年中行事の膳
といった場面で使われてきた器です。
つまり、正月専用ではないが、正月に使うに不足のない格と品を備えた器であり、
「正月に使ってはいけない器」ではなく、「正月にも自然に使われてきた器」と捉えるのが適切です。
芙蓉手がお正月に向いている3つの理由
1. 円を基調とした構図が、新年の始まりにふさわしい
芙蓉手の最大の特徴は、中心から外へと広がる放射状の構成です。
この構図は、円満・調和・始まりを象徴し、新しい年の食卓に静かな意味づけを与えます。
視線が自然に中央へ集まり、器の上に盛られた料理がきちんと「収まる」点も、祝膳向きの要素です。
2. 染付主体で、料理を主役にできる
芙蓉手は染付を基調としているため、料理の色合いを邪魔しません。
数の子、なます、白身魚、酢の物など、お正月らしい淡い色調の料理を盛ると、器と料理が互いを引き立て合います。
器が前に出すぎず、しかし場の格を下げない。
この控えめだが不足のない存在感は、お正月の食卓に非常に向いています。
3. 重箱や漆器と調和しやすい
お正月の食卓では、重箱や漆器と組み合わせることが多くなります。
芙蓉手の落ち着いた色調と整った構図は、黒塗りや朱塗りの漆器と相性がよく、全体を端正にまとめてくれます。
華やかさを盛りすぎず、全体の調和を優先する正月膳において、芙蓉手は非常に扱いやすい器です。
芙蓉手と他の正月向け伊万里焼の違い
お正月に使われる伊万里焼には、いくつかの方向性があります。
金襴手は、赤絵と金彩を多用し、晴れの日らしさを強く演出したい席に向きます。
大聖寺伊万里は、色絵と金彩による華やかさと格式を兼ね備え、祝宴や来客の多い場に適しています。
それに対して芙蓉手は、端正で落ち着いた正月膳を整えるための器です。
どれが優れているという話ではなく、正月の過ごし方や席の性格による使い分けと考えるのが自然でしょう。
現代のお正月での芙蓉手の使い方
現代の食卓では、芙蓉手は向付や中皿、取り皿として使いやすい器です。
一人分の祝い肴を盛ったり、重箱料理を取り分けたりする場面で、その真価を発揮します。
毎年繰り返し使えることも、芙蓉手の大きな魅力です。
流行や派手さに左右されず、年を重ねるごとに「定番の正月器」として定着していきます。
まとめ|芙蓉手は「静かに正月を整える器」
芙蓉手は、派手さで祝うための器ではありません。
整った構図と余白、染付の落ち着いた表情によって、新年の食卓をきりりと引き締める器です。
江戸時代から続くその美意識は、現代のお正月にも無理なく馴染みます。
華やかすぎない正月、端正に始まる一年を大切にしたい方にとって、芙蓉手は理想的な存在と言えるでしょう。
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