富山高岡本店
伊万里焼なます皿の文様を読み解く|牡丹・蝶・コウモリに込められた吉祥の意味🦇
はじめに|華やかな伊万里焼の文様を読み解く
伊万里焼のなます皿には、ただ美しいだけでなく、
一つひとつの文様に願いや象徴的な意味が込められています。
今回ご紹介するのは、明治頃に焼かれた色絵伊万里のなます皿。
紫がかった地に大輪の牡丹と蝶が描かれ、見込み(中央)には三匹の赤いコウモリが舞う印象的な構図です。
一見すると華やかで愛らしい意匠ですが、
その背後には古来の吉祥思想と中国文化の影響が色濃く表れています。
本記事では、この文様の意味を詳しく解説します。
牡丹文とは|富貴と繁栄を象徴する吉祥文様
牡丹(ぼたん)は「百花の王」と呼ばれ、富貴・繁栄・高貴さの象徴として知られています。
伊万里焼では江戸後期から明治にかけて多く描かれ、特に色絵や金襴手様式の器に好まれました。
このなます皿では、白・黄・赤の牡丹がぐるりと描かれ、緑の葉が画面を埋め尽くしています。
華やかな色調の中に、生命力と吉兆を感じさせる構成です。
紫がかった地に絵具を重ねた柔らかな色調は、明治伊万里らしい穏やかな印象を与えます。
蝶文とは|優雅さと再生をあらわす縁起文様
牡丹の間を舞う蝶は、美しさと優雅さを象徴するだけでなく、再生や長寿の意味を持ちます。
羽化を繰り返す蝶の姿が「生命の循環」や「魂の永続」を想起させるためです。
牡丹と蝶の組み合わせ(牡丹蝶文)は、
富貴と優雅を兼ね備えた、古来より人気の高い吉祥文様。
伊万里焼や九谷焼、京都の京焼などにも共通して見られる意匠です。
コウモリ文とは|幸福と守護を象徴する中国由来の意匠
このなます皿の見込み中央には、三匹の赤いコウモリが描かれています。
日本では珍しいモチーフですが、中国では最も幸福を象徴する文様の一つです。
コウモリの漢字「蝠(フー)」は、「福(フー)」と同じ発音を持ちます。
そのため、古来より「福を招く生き物」として、
衣装や陶磁器、建築装飾などに盛んに用いられてきました。
赤く描かれたコウモリは「紅蝠(こうふく)」と呼ばれ、
「幸福(こうふく)」に通じる吉祥文。
伊万里焼にも中国文様の影響を受けて登場し、
福を招き、邪を払う守護文様として人気を集めました。
伊万里焼の文様に込められた祈り
このなます皿に描かれた文様は、いずれも吉祥と幸福の象徴です。
牡丹文:富貴・繁栄
蝶文:優雅・再生・長寿
コウモリ文:幸福・守護
華やかな色絵の中に、祈りや願いが静かに込められています。
こうした吉祥の美意識こそが、伊万里焼が時代を超えて愛される理由です。
まとめ|明治伊万里の華やぎと吉祥文様の魅力
明治期の伊万里焼は、江戸時代の伝統を継承しながらも、
輸出や近代化の影響で色絵の表現がより自由でのびやかになりました。
このなます皿も、紫地に色絵を重ねる柔らかさと、
中国趣味を感じさせるコウモリ文の組み合わせが印象的です。
華やかさと祈りが共存する――
それが、伊万里焼の文様に込められた美しさと言えるでしょう。
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