富山高岡本店
色絵伊万里とは?人物花文と輪花形に見る江戸の美意識
「色絵伊万里(いろえいまり)」とは、江戸時代に肥前有田で焼かれた伊万里焼のうち、染付(そめつけ)の藍の上に赤絵・緑釉・金彩などを施した華やかな磁器を指します。
藍と赤、そして金。この三色の調和が生み出す豪奢な美は、江戸後期の美意識を象徴するものといえるでしょう。
今回ご紹介するのは、「伊万里焼 色絵 人物花文 輪花 膾皿(なますざら)」。
色絵伊万里の魅力を凝縮した一枚であり、その文様と形には、当時の人々の祈りや美的感覚が宿っています。
色絵伊万里の特徴とは
色絵伊万里は、もともと中国・明代の五彩磁を手本に、日本独自の感性を重ねて発展した磁器です。
17世紀後半に始まり、18〜19世紀には国内需要とともに輸出向けも盛んになりました。
染付の藍を基調に、赤・緑・黄・金を重ねることで絵画的な表現を可能にし、
器の内外を埋め尽くすような装飾が施されます。
その華やかさから、「伊万里様式(Imari Style)」として欧州でも高く評価されました。
人物花文とは|吉祥と物語の意匠
この膾皿に描かれているのは、「人物花文(じんぶつかもん)」と呼ばれる意匠。
人物文は中国の故事や仙人、唐子(からこ)などを題材にしたもので、福寿や子孫繁栄を願う象徴です。
花文は四季の花々を組み合わせた吉祥文様であり、松竹梅や牡丹、菊などが描かれます。
伊万里焼では、これらを区画ごとに配置する「割絵構成」が多く、幾何学文や唐草文と組み合わせて画面を引き締めています。
人物花文は、単なる装飾ではなく「めでたさ」「祝意」を込めた絵画的文様なのです。
輪花形の魅力|やわらかな曲線が生む優美さ
この皿のもう一つの特徴は、花弁のように波打つ「輪花形(りんかがた)」の口縁。
輪花は“花を模した形”という意味で、江戸時代には格式ある宴席器に多く用いられました。
直線的な器形が多い磁器の中で、輪花形は特に柔らかさと女性的な品格を感じさせます。
料理を盛った際にも、器と食材が自然に調和し、視覚的な美を演出します。
現代の食卓でも、サラダや果物を盛るだけで絵になる器です。
膾皿とは?江戸の食文化を映す器
膾皿(なますざら)は、もともと酢の物や和え物を盛るための中皿。
直径13〜15cm前後の使い勝手のよい大きさで、家庭の祝い膳にも重宝されました。
江戸時代には「料理を器で魅せる」という意識が高まり、膾皿は単なる食器ではなく「季節を映す舞台」として愛用されました。
この輪花膾皿のような色絵伊万里は、その最たる例といえるでしょう。
古伊万里との違い|時代が生んだ華やかさ
同じ伊万里焼でも、「古伊万里」と「色絵伊万里」には明確な違いがあります。
古伊万里(江戸前期〜中期)は、藍と赤の調和が落ち着き、全体に端正で静かな印象。
一方、色絵伊万里(江戸後期〜明治初期)は、赤絵・金彩・緑釉などが大胆に使われ、構図もより装飾的になります。
この膾皿に見られる鮮やかな朱と金、区画ごとの文様の切り替えはまさに後期伊万里の特徴です。
華やかな中にも秩序を感じさせる意匠に、時代の洗練が映ります。
文様に込められた江戸の美意識
赤と金で描かれた唐花、緑の幾何学文、藍の染付による縁取り。
その組み合わせは、単なる色彩の豪華さではなく、「めでたさを重ねる」という日本的な吉祥観の表れです。
「人と自然の調和」「季節の移ろい」「祈りの形」。
江戸の人々が日常の中で大切にしていた美意識が、この一枚の中に凝縮されています。
現代に活かす色絵伊万里の楽しみ方
アンティークとしての鑑賞はもちろん、現代の食卓に取り入れる楽しみもあります。
たとえば、緑の野菜や白い和え物を盛ると、赤絵の文様がより映えます。
飾り皿として棚に立てるだけでも、空間に華やぎを与えてくれるでしょう。
長い時を経てもなお輝きを放つ色絵伊万里。
それは、江戸の美意識が現代に息づく“器の芸術”です。
◆商品詳細◆
伊万里焼 色絵 人物花文 輪花 膾皿
時代:明治頃
高さ:約5センチ
直径:約15センチ
一客:6,000円
珉平焼 白釉 蔦文 角小皿
時代:明治頃
高さ:約1.5センチ
直径:約9.4センチ
一客:6,500円
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