富山高岡本店
桃文(桃型)の器とは?吉祥と理想郷を映す古伊万里の意匠🍑中国由来の吉祥文
古い器を見ていると、ときどき「桃のかたち」をした皿や、「桃の輪郭」の中に景色が描かれた文様に出会います。
これは桃文(もももん)、あるいは桃型(ももがた)と呼ばれる意匠で、古伊万里をはじめとする江戸期の陶磁器で好まれました。
では、なぜ桃なのでしょうか。
そこには、中国古来の蓬莱・桃源郷の観念と、長寿を願う吉祥思想が息づいています。
なぜ桃なのか|長寿・厄除け・神仙の象徴
中国では古くから、桃は邪気を祓い、長寿をもたらす果実として尊ばれてきました。
仙人の住む世界「蓬莱」には不老不死の桃が実り、これが日本にも伝わり、桃=吉祥の象徴として受容されました。
器の形を桃にする、もしくは桃の輪郭で場面を切り取ることで、
「食卓に福を迎える」
という祈りが込められているのです。
桃窓とは?|桃の輪郭に切り取られた小さな理想郷
今回取り上げる器では、桃の形の窓(桃窓)の中に、景色が描かれています。
そこには、瓢箪、滝、遠山、飛ぶ鳥といった仙境を思わせるモチーフが配されています。
瓢箪…福を呼ぶ、魔除け
滝…浄化、清浄、仙境
遠山・飛鳥…理想郷、平穏な自然
まるで桃源郷を覗き込むような小宇宙です。
この形式は、額縁のような窓から別世界を覗く「窓絵(まどえ)」の一種として理解できます。
周囲の意匠|花唐草・雷文が示す吉祥性
桃窓を取り囲む部分には、花唐草や雷文が配されています。
どちらも吉祥文様として親しまれた古典意匠です。
花唐草…命の連続、繁栄
雷文…厄除け、永続、守護
つまり、桃窓の仙境と周囲の吉祥文様が響き合い、
おめでたさと穏やかな理想世界が一枚の器に凝縮されているのです。
まとめ|なぜ惹かれるのか
桃文(桃型)の器は、ただ可愛らしい形の器ではありません。
そこには、
長寿を願い、福を招き、心安らぐ理想郷を映し出す
という深い祈りがあります。
その桃窓の奥には、滝の音が聞こえ、山の景が遠くに霞み、鳥が悠々と飛んでいるかのようです。
古伊万里ならではの、吉祥と夢想の世界。
今日の食卓にも、そっと招き入れたい意匠です。
◆商品詳細◆
伊万里焼 色絵 山水瓢文 桃形 変形皿時代:明治頃
高さ:約3.8センチ
横 :約15センチ
奥行:約15.6センチ
一客:2,000円
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