林風眠りんふうみん
時代 | 清・光緒26(1900)~香港・1992年 |
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カテゴリー | 中国美術 |
プロフィール | 近代中国の画家。広東省梅県の人。祖父は石匠で父の雨農は画師であった。省立梅州中学を卒業後、フランスに留学。パリ国立高等美術学院に入学してコルモンに油彩画を学んだ。更にパリでの学業を終えた後はドイツに渡り、当地で結婚を果たしている。中国に帰国後は北京国立藝術専門学校校長兼教授として着任、この時の同僚に斉白石がいる。日中戦争が始まると、重慶に移って創作に専念する日々を送った。新中国建設後もそのまま本土に留まり作家活動を続けたが、文化大革命により拘束。後年周恩来の尽力によって釈放されるが、拘束生活の中で健康を害してしまった。1977年に香港へと出国し当地で没した。 林風眠(りん ふうめい / Lin Fengmian, 1900-1991) 林風眠(Lin Fengmian, 1900-1991)は、20世紀中国美術の革新者の一人であり、中国伝統絵画と西洋モダニズムを融合させた革新的な画家です。 彼の作品は、東洋と西洋の美術の要素を取り入れ、独自のスタイルを確立し、近代中国画の先駆者として高く評価されています。 また、美術教育者としても活躍し、中国美術学院(旧・国立杭州芸術学院)を創設するなど、中国美術の発展に大きな貢献を果たしました。 1. 生涯 ◇ 幼少期とフランス留学(1900-1925) 1900年、中国広東省梅県(現在の梅州市)に生まれる。 幼少期から絵画に興味を持ち、地元の書画家に学ぶ。 1918年、フランスへの国費留学生として渡欧し、ディジョン美術学校、続いてパリのエコール・デ・ボザール(国立美術学校)で学ぶ。 フランスで印象派・フォービズム・キュビズムなどの西洋美術を学び、強く影響を受ける。 特にマティス、ゴッホ、セザンヌ、ピカソの作品に感銘を受ける。 ◇ 帰国と美術教育活動(1925-1949) 1925年、帰国後、上海美術専門学校で教師を務める。 1928年、中国初の国立美術学院である「国立杭州芸術学院」(現在の中国美術学院)を創設し、初代院長に就任。 この時期、西洋と中国の美術を融合した教育方針を打ち出し、伝統的な中国画の革新を試みる。 1937年、日中戦争の勃発により、美術学院は移転を余儀なくされるが、美術教育を続ける。 ◇ 文化大革命と迫害(1949-1977) 1949年の中華人民共和国成立後、共産党政府は「社会主義リアリズム」を重視し、林風眠の西洋風の作品は「ブルジョア的」として批判を受ける。 1952年、美術教育から追放され、以後、個人的に制作活動を続ける。 文化大革命(1966-1976)では「反革命的」とされ、迫害を受け、自らの作品を大量に破壊せざるを得なくなる。 この時期、多くの貴重な作品が失われた。 ◇ 晩年とフランス移住(1977-1991) 文化大革命後、1977年に名誉が回復される。 1980年、香港に移住し、後にフランスへ渡る。 1991年、フランスで死去(享年91)。 彼の作品は、死後ますます評価が高まり、中国近現代美術の巨匠として再評価されるようになった。 2. 画風と技法 林風眠の画風は、西洋のモダニズムと中国伝統絵画の要素を融合させた独自のスタイルが特徴です。 (1) 西洋と東洋の融合 中国の水墨画の伝統を取り入れつつ、西洋の色彩感覚や構成を取り入れた表現を追求。 筆の動きや墨の滲みを活かしながらも、西洋絵画のような光と影の表現を取り入れた。 平面的な構成と、シンプルながらも洗練された形態が特徴。 (2) 色彩の革新 伝統的な中国画では用いられなかった鮮やかな色彩を積極的に導入。 特に青・緑・黄色を多用し、幻想的で詩的な雰囲気を醸し出す。 (3) 独特な構図 従来の山水画とは異なり、幾何学的な構成や対称的なデザインを用いることが多い。 シンプルな形態の中に動きを持たせることで、視覚的なダイナミズムを生み出した。 3. 代表作品 (1)《京劇人物画》 京劇の登場人物をモチーフにした作品で、中国文化と西洋の表現技法が融合している。 鮮やかな色彩と、簡潔ながらも力強い線が特徴。 (2)《漁村の夕暮れ》 中国の田園風景を描いた作品で、静かで詩的な雰囲気が漂う。 西洋の印象派の影響が見られる。 (3)《裸婦》 東洋と西洋の融合を象徴する作品。 伝統的な中国画にはない、裸婦を描いた作品でありながら、エレガントで洗練された雰囲気を持つ。 4. 林風眠の影響と評価 ◇ 美術界への影響 中国の伝統絵画にモダンな要素を取り入れ、新しいスタイルを確立。 彼の画風は、後の中国現代美術に大きな影響を与えた。 美術教育者としても貢献し、多くの著名な画家を育てた。 ◇ 現在の市場価値 林風眠の作品は、現在の中国美術市場で極めて高く評価されている。 彼の作品は、サザビーズやクリスティーズのオークションで数億円規模で取引されることもある。 特に「京劇人物画」や「裸婦画」は人気が高く、コレクターの間で争奪戦になることも。 贋作が多いため、真贋の鑑定が極めて重要。 5. まとめ 林風眠は、中国の伝統美術と西洋モダニズムを融合させ、20世紀中国美術に革命をもたらした画家でした。 彼の作品は、独自の色彩と構成が特徴であり、現在でも美術市場で極めて高く評価されています。 また、美術教育者としても影響力があり、中国美術学院の創設者として中国美術の発展に貢献しました。 現在、彼の作品はコレクターの間で人気が高く、国際的にも高値で取引されています。 |