呂紀りょき

時代 明・正統4(1439)~明・弘治2(1505年)
カテゴリー 中国美術
プロフィール 中国,明の画院画家。「ろき」ともいう。寧波 (浙江省) の人。字は廷振,号は楽愚。初め辺景昭につき黄氏体の花鳥画を学び,のち大収集家の袁忠徹所蔵の唐宋画を学んで一家をなし,弘治年間 (1488~1505) 初め画院に奉職,武英殿待詔となる

呂紀(りょ き / Lü Ji, 1439-1505?)

呂紀(Lü Ji, 1439-1505?)は、明代の宮廷画家であり、花鳥画の名手として知られる。
彼は、明代の宮廷画の伝統を受け継ぎながら、より写実的で力強い表現を加えたことで評価されている。
特に、工筆画(細密画)の技法を極め、花鳥画の発展に大きく貢献した。

1. 生涯

◇ 幼少期と学問の修得(1439-1460)
1439年、中国浙江省出身とされる。
幼少期から絵画に優れた才能を示し、特に花鳥画に興味を持つ。
当時、宮廷画の中心地であった明の宮廷(北京)に入り、画技を磨く。
◇ 宮廷画家としての活躍(1460-1500)
**成化年間(1465-1487)**に宮廷画家として活動し、皇帝の庇護を受ける。
特に成化帝・弘治帝の時代に宮廷画の中心的な存在となり、宮廷の公式な記録画や装飾画を制作。
彼の花鳥画は、従来の宮廷画よりも力強く写実的な表現が特徴となる。
晩年は、宮廷から退き、故郷で後進の育成や創作活動を行ったとされる。
◇ 晩年(1500-1505?)
晩年の記録は少なく、1505年頃に没したと推定されている。
2. 画風と技法

呂紀の画風は、精密な筆致と鮮やかな色彩を特徴とする宮廷画の伝統を受け継ぎながらも、独自の写実的な表現を加えたことで評価される。

(1) 花鳥画
呂紀の花鳥画は、宮廷の「工筆画(細密画)」の技法を極めた作品が多い。
羽毛や花弁の細密な描写、鮮やかな色彩の表現が特徴。
花や鳥だけでなく、背景の植物や昆虫の描写にも細かい注意が払われている。
(2) 独自の筆法
彼の筆法は、「工筆重彩」と呼ばれる極めて細かい描写に基づく技法が中心。
線の繊細さと色彩の豊かさを兼ね備えた、宮廷画の伝統を発展させた。
一方で、花や鳥の動きにダイナミズムを持たせ、より生き生きとした表現を追求した。
(3) 狩猟画と動物画
呂紀は、花鳥画だけでなく、狩猟をテーマにした動物画も多く描いた。
特に、鷹・獅子・虎などの猛禽や猛獣を描いた作品が有名で、これらの作品では力強い筆遣いが特徴。
宮廷において**「勇壮な動物を描く画家」として評価された。**
3. 代表作品

(1)《枇杷山鳥図》
枇杷の実がなる木の上に美しい鳥が止まっている作品。
精緻な筆致で羽毛や葉脈が細かく描かれ、色彩の対比が美しい。
(2)《鷹兎図》
鷹が兎を狙う瞬間を描いた作品で、動物の緊張感が伝わる。
宮廷での狩猟文化と関連し、狩猟画の代表作として知られる。
(3)《竹雀図》
竹の茂る中に雀が戯れる様子を描いた作品で、動きのある筆遣いが特徴。
鳥の羽毛の描写が極めて精密であり、呂紀の技法の高さを示す作品。
4. 呂紀の影響と評価

◇ 美術界への影響
呂紀の作品は、宮廷画の伝統を引き継ぎながらも、よりリアルで力強い表現を加えた点が特徴。
彼の花鳥画の技法は、後の清代の画家たちにも受け継がれた。
明清時代の宮廷画における「工筆画」の発展に貢献し、後世の宮廷画家たちの手本となった。
◇ 現在の市場価値
呂紀の作品は、現在の中国美術市場で非常に高い評価を受けている。
彼の作品は、サザビーズやクリスティーズのオークションで数億円規模で取引されることもある。
特に「花鳥画」や「狩猟画」は人気が高く、コレクターの間で高値で取引される。
贋作も多く流通しているため、真贋の鑑定が非常に重要。

5. まとめ

呂紀は、明代宮廷画の伝統を受け継ぎながらも、より写実的で力強い花鳥画を描いた画家でした。
彼の作品は、細密な描写と鮮やかな色彩が特徴であり、宮廷画の発展に大きく貢献しました。
特に、鷹や虎などの動物画にも優れ、狩猟画の分野でも高い評価を受けています。
現在でも、彼の作品は美術市場で高く評価され、コレクターの間で人気が高い。