白雪石はくせつせき

時代 1915年〜
カテゴリー 中国美術
プロフィール 北京市出身。幼い頃より絵画を好み、1933年に普通中学卒業後、染樹年氏につき山水画を学ぶ。
解放前には湖社画会に参加し、又中国画学研究会会員となる。
解放後、北京中国画研究会会員となるとともに、全国美術家協会会員ともなる。
かつては中国画研究会理事も任じた。
1958年には、前北京芸術美術学院で教鞭をとっている。
作風は中匠南部の景勝地、広西省チュワン族自治区にある桂林、漓江の風景画である「雨後」の 風情などは比類なく絶品の趣きがある。
北京飯店の大広間にある大屏風の大作も彼の代表作である

白雪石(はく せっせき / Bai Xueshi, 1915-2011)

白雪石(Bai Xueshi, 1915-2011)は、20世紀中国を代表する山水画家の一人であり、中国近現代美術史において極めて重要な存在です。
彼は伝統的な中国水墨画を継承しながらも、西洋美術の影響を取り入れた独自の山水画風を確立し、**「現代山水画の革新者」**と称されました。

また、彼は中国画院(美術院)の指導的立場にあり、多くの弟子を育てたことでも知られています。

1. 生涯

◇ 幼少期と美術の学び(1915-1940)
白雪石は1915年、中国・北京で生まれました。
幼少期から絵画に興味を持ち、特に伝統的な中国山水画に強く惹かれました。
1930年代に北京の美術学校に入学し、正式に絵画を学び始めました。
この頃、伝統的な文人画や宮廷画の影響を受けながらも、西洋美術の遠近法や光の表現に関心を持ちました。
◇ 戦争と激動の時代(1940-1949)
日中戦争(1937-1945)や国共内戦(1945-1949)の影響で、多くの芸術家が困難な状況に置かれました。
白雪石も戦時中は苦しい生活を送りましたが、それでも芸術活動を続け、山水画の研究を深めました。
彼は、伝統的な技法を基盤にしながら、よりリアリズムを意識した山水画を探求し始めました。
◇ 新中国成立と画壇での活躍(1950-1980)
1949年の中華人民共和国成立後、白雪石は美術界で正式な評価を受け、中国画院(現・中央美術学院)に所属しました。
彼は、山水画の革新を目指し、西洋の透視図法(遠近法)や光の表現を取り入れ、伝統的な中国画に新しい命を吹き込みました。
中国政府の文化政策の一環として、多くの公式展覧会に作品を出品し、国際的な評価を得るようになりました。
◇ 晩年の国際的な評価(1980-2011)
1980年代以降、中国の改革開放政策により、白雪石の作品は海外でも注目されるようになりました。
彼は、中国国内だけでなく、日本、アメリカ、ヨーロッパでも展覧会を開催し、国際的な名声を確立しました。
2011年に96歳で逝去しましたが、その画風と技法は今も多くの画家に影響を与えています。
2. 画風と技法

(1) 山水画
白雪石の山水画は、伝統的な中国山水画の技法と西洋美術の遠近法を融合した独自のスタイルが特徴です。

伝統的な山水画の構図を活かしながら、明確な遠近感と光の効果を取り入れる。
雄大な自然の景観をリアルに再現しながらも、詩的な雰囲気を持たせる。
霧や光の表現に優れ、幻想的な空間を生み出す。
(2) 墨と色彩の表現
白雪石は伝統的な水墨画に加え、彩色を積極的に取り入れました。
特に、山の稜線や霧の表現において、淡い色彩を重ねることで奥行きを強調する技法を確立。
「青緑山水画」(青と緑を基調とした中国伝統の山水画)を現代的に再解釈し、新しい可能性を示しました。
(3) 西洋美術の影響
白雪石の作品には、西洋の風景画の影響が見られ、特に遠近法の活用が顕著。
中国画の伝統的な「散点透視法」(視点を定めず、広がりのある構成を取る手法)と、西洋の一点透視法を組み合わせた独自の画風を確立。
これにより、よりリアルな空間表現と詩的な雰囲気が融合した新しい山水画を生み出しました。
3. 代表作品

(1)《黄山松雲図》
中国の名峰「黄山」を題材にした作品で、白雪石の代表作の一つ。
霧に包まれた山々と松の木が繊細な筆致で描かれ、詩情あふれる雰囲気を醸し出している。
(2)《長江万里図》
長江の壮大な風景をダイナミックに描いた作品で、彼の遠近法を活かした技法が際立つ。
遠くまで続く山々と川の流れを、大胆な構図で表現。
(3)《桂林山水図》
中国南部の桂林の美しい山水風景を描いた作品で、幻想的な霧の表現が特徴。
中国伝統の青緑山水画の色彩を取り入れながらも、光の効果を加えて新しい表現を試みた作品。
4. 白雪石の影響と評価

◇ 美術界への影響
伝統的な中国山水画に新しい技法を取り入れたことで、多くの後進の画家に影響を与えた。
西洋美術の要素を取り入れた山水画の革新者として、中国近現代美術史に大きな足跡を残した。
北京画院(中国の主要な美術機関)で長年教鞭をとり、多くの弟子を育成した。
◇ 現在の市場価値
白雪石の作品は、現在の中国美術市場で非常に高額で取引されている。
2015年のオークションでは、彼の**《長江万里図》が約1,000万元(約2億円)で落札**された。
彼の山水画は、特に中国のコレクターや富裕層の間で高い人気を誇る。
贋作も多いため、真贋の鑑定が非常に重要。


まとめ

白雪石は、20世紀の中国山水画の革新者として知られ、伝統的な水墨画に西洋美術の遠近法や光の表現を取り入れた独自のスタイルを確立した画家です。
彼の作品は、現在でも高く評価され、中国国内外の美術市場で高値で取引されています。