程十髪ていじゅっぱつ
時代 | 民国10(1921)~中華人民共和国・2007年 |
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カテゴリー | 中国美術 |
プロフィール | 近現代中国の画家。上海市松江県の人。上海市美術専科学校国画科に学び、新中国建設後は上海薗東人民美術出版社にて創作幹部に任命される。さらに1956年には上海中国画院にて講師の職に就き、後進の指導に当り始める。細筆を巧みに用い趣ある画風の人物、竹石などが得意で、写実風の画風によって古典人物、仕女、鹿や鳩を多く書いている。更に〈阿Q正伝絵図〉など小説の挿図や扇面画にも新風を開いた。また書も能くした。 程十髪(チェン・シーファ / Cheng Shifa, 1921-2007) 程十髪(てい じっぱつ)は、中国の近現代絵画を代表する画家・芸術家であり、伝統的な水墨画を基盤としながらも、新たな芸術的表現を追求したことで知られています。彼は主に人物画や花鳥画を得意とし、特に中国の民間芸術や伝統文化をテーマにした作品を多く残しました。 1. 生涯 ◇ 幼少期と学び(1921-1940) 程十髪は**1921年、中国・上海の郊外に生まれました。幼いころから絵に親しみ、1941年に上海美術専科学校(現在の中国美術学院)**に入学し、本格的に中国画を学びました。この時期、**呉湖帆(ご こはん)や劉海粟(りゅう かいぞく)**などの著名な画家たちと交流を持ち、伝統的な筆法と西洋画の技法を融合させた表現を探求しました。 ◇ 上海時代と画壇での活躍(1940-1970) 程十髪は1940年代から上海を拠点に活動し、伝統的な山水画・花鳥画・人物画を描きながら、次第に独自のスタイルを確立しました。1950年代になると、彼の作品は中国政府の文化政策の影響を受け、「人民のための芸術」というテーマのもと、民間伝承や庶民文化を積極的に取り入れるようになります。 これは、毛沢東の文化政策とも合致し、程十髪の作品は政府の展覧会などで高く評価されました。 ◇ 文化大革命(1966-1976)の影響 文化大革命の時期、多くの芸術家が弾圧を受けた中で、程十髪も一時的に制作活動を制限されました。しかし、彼の作品は中国民間美術の伝統を重んじたため、比較的軽微な影響で済んだとされています。 ◇ 晩年の活動(1980-2007) 1980年代以降、程十髪は国内外で多くの展覧会を開催し、中国絵画の国際的な評価を高める活動を行いました。彼はまた、**上海中国画院(上海美術館)**の院長を務め、後進の育成にも力を注ぎました。 2007年に上海で逝去。享年86歳。 2. 画風と技法 程十髪の画風は、伝統的な中国画と民間芸術の要素を融合させた独特なものです。 (1) 伝統技法の継承 彼は明・清時代の中国画の技法を忠実に学び、特に**「没骨法(もっこつほう)」**(輪郭線を使わず、色と筆使いで形を表現する技法)を得意としました。この技法は、特に花鳥画でよく用いられます。 (2) 民間芸術の影響 彼の作品には、中国の民間伝承や民俗芸術の影響が色濃く表れています。特に、**京劇(京劇の登場人物を描いた作品)**や、中国の古典文学「西遊記」「紅楼夢」などを題材にした作品が多いです。彼の描く人物は、ユーモラスで表情豊かであり、民衆文化に根ざした親しみやすい雰囲気を持っています。 (3) 力強い線と鮮やかな色彩 彼の絵の特徴は、太く力強い筆致と、伝統的な水墨画にはない鮮やかな色彩です。特に、彼の描く花鳥画や動物画では、シンプルな線と明快な構図で対象を生き生きと表現しています。 (4) 西洋美術の影響 程十髪は、伝統的な水墨画に加え、西洋画のデッサンや色彩理論を取り入れたことでも知られています。彼の作品には、陰影の使い方や構図に西洋絵画の影響が見られ、これは彼の時代の画家としては革新的な試みでした。 3. 代表作品 (1)《紅楼夢人物図》 「紅楼夢」に登場する人物を描いた作品で、物語の登場人物を生き生きと描写しています。 (2)《京劇人物画》 京劇の登場人物をテーマにした作品群で、京劇独特の衣装や表情が力強い筆致で描かれています。 (3)《花鳥画》シリーズ 彼の花鳥画は、伝統的な水墨画の技法を基盤にしながらも、民間芸術の要素を取り入れた独特のスタイルが特徴です。 4. 程十髪の影響と評価 彼の作品は、伝統的な中国画と民間芸術を融合させた点で高く評価されています。 文化政策の影響を受けつつも、独自の芸術表現を追求したことで、中国の現代美術に重要な足跡を残しました。 西洋美術との融合を試みたことで、20世紀後半の中国美術に新たな可能性をもたらしました。 5. 程十髪の市場価値と骨董品としての評価 程十髪の作品は、近年の中国美術市場での評価が高まっています。 オークションでの落札価格 彼の作品は、サザビーズやクリスティーズなどの国際オークションで数百万人民元(数億円規模)で落札されることがあります。 真贋の注意 彼の作品はシンプルな構図が多いため、贋作も流通しています。作品を取り扱う際は、署名や印章の確認、筆使いの特徴を慎重に鑑定する必要があります。 今後の評価 近年、中国国内で伝統絵画への関心が高まっており、程十髪の作品の価値もさらに上昇する可能性があります。 まとめ 程十髪は、伝統的な中国画を基盤としながらも、民間芸術や西洋美術の要素を取り入れた独自の表現を確立した画家です。彼の作品は現在でも高く評価され、美術市場でも価値が上がり続けています。 |