仇英きゅうえい

時代 明・正徳4(1509)〜明・嘉靖30(1551年)
カテゴリー 中国美術
プロフィール 明代の画家。江蘇省生。字は実父、号を十州。人物・鳥獣・山水・楼観を能くしたが、特に人物画は、濃い彩色・忠実な写実・美しい表現を狙った描写的様式に一段と細密さを加えた様式を大成し、さらに美人風俗画として独特の画体を作り、この後の風俗人物画はみな仇英風に変わったとされる。没年不詳(1552年頃)。唐寅、文徴明、沈周らと並び明四大画家の一人と持て囃されたが、現存する作品例は少ない。

仇英(きゅうえい、中国語: 仇英、拼音: Qiú Yīng、1494年頃 – 1552年頃)は、中国・明代の画家で、江蘇省太倉(現在の蘇州市の一部)出身です。彼は明代の「四大家」(沈周・文徴明・唐寅・仇英)の一人に数えられ、特に工筆画(細密な描写の絵)や青緑山水画に優れた作品を残しました。

仇英の特徴
仇英は、もともと塗装職人として修業をしていましたが、その才能が評価され、文人画家の文徴明に師事しました。彼の絵画は、伝統的な南宋の院体画(宮廷画)を継承しながらも、細密な描写と華やかな色彩を特徴とし、洗練された工筆画が多く見られます。

1. 山水画

仇英は青緑山水画の名手として知られています。特に、伝統的な青緑色(青銅と鉱物顔料を使用)を用いた色彩豊かな山水画は、宮廷画や文人画の影響を受けつつも、より鮮やかで装飾的な作風となっています。

2. 人物画

彼の人物画は、細やかで優雅な表現が特徴で、宮廷生活や歴史的な物語を題材にした作品が多く見られます。「漢宮春暁図」や「桃源仙境図」などが代表的です。

3. 詩意画

詩や文学作品を題材とした「詩意画」も数多く制作し、『西廂記』や『紅楼夢』などの古典文学をテーマにした作品も残っています。

代表作
「漢宮春暁図」 - 宮廷の華やかな生活を描いた工筆画の傑作。
「桃源仙境図」 - 陶淵明の「桃花源記」に基づく理想郷を描いた作品。
「臨宋人山水図」 - 宋代の山水画の技法を取り入れた作品。
「西湖勝景図」 - 杭州・西湖の美しい風景を描いた作品。
影響と評価
仇英は、同時代の沈周や文徴明とは異なり、職人画家として出発したため、当時の文人層からはやや低く評価されることもありました。しかし、彼の緻密な筆遣いや鮮やかな色彩は、後世に高く評価され、清代の宮廷画や日本の狩野派の画家にも影響を与えました。

仇英の画風の特徴まとめ
工筆画の技法に優れる
青緑山水画の傑作を多く残す
宮廷画や物語画、詩意画に秀でる
宋代や元代の技法を取り入れつつ、独自の細密表現を確立
仇英の作品は現在、中国の故宮博物院や上海博物館などに所蔵されており、彼の画風は今なお多くの人々に愛されています。