船本芳雲ふなもとほううん

時代 昭和17年〜
標準発表価格 720,000 円
カテゴリー 絵画、書画
作品種別 書 現代書家 近代詩文作家
プロフィール 師 青木香流
石川県出身。

船本芳雲(ふなもと ほううん、1942年〜)さんは、故郷・樺太(現サハリン)出身で、自作詩を題材にした詩文書を得意とし、「現代の漢字かな交じり書」を日本書壇に広めた重鎮です。以下にその歩みと書の特徴をご紹介します。

経歴と活動

出身と師事
1942年、樺太に生まれ、終戦後に家族で能登(石川県珠洲市)へ引き揚げ

国鉄勤務後、23歳で書道を正式に学び始め、青木香流に師事

書道家として独立
40歳で国鉄を退職し、創作活動に専念。自作の詩を素材に書作品を制作するスタイルを確立

主要な受賞・役職
1981年:毎日書道展 会員賞受賞

2004年:毎日書道顕彰
2013年:毎日書道展 文部科学大臣賞受賞

2015年:毎日芸術賞を受賞
毎日書道会 常任顧問/全日本書道連盟 監事/日本詩文書作家協会 会長 など多数の重責を歴任

書風・表現の特徴

詩と書が融合した詩文書
タイトルにもあるように、自らが紡いだ詩を筆で表現する「詩文書」を中心に、大作では10 m級にも。すべて書き下ろしで展開

身近に感じられる書芸術
漢字かな交じりで読みやすく、詩の内容が心に響くよう工夫。一般の書に対する敷居を下げたいとの思いから作品を制作

故郷への情景表現
樺太から能登への引き揚げ体験や、地震後の能登への想いを作品化。自然や記憶への共感を呼び、多くの人の心に響いています

詩作のこだわり
「かもめ」の詩など、私小説的エピソードを自作し、“私”と書を重ねる。詩が強く、作品にも深い人間性が漂います
主な展覧会・著作

個展『沁みいる故郷』(そごう美術館/2014年)
樺太→能登、そして心象風景を詩と書で綴る個展。約50点、大作複数を出品

著書・作品集
『伝えたいことば 漢字かな交じり書への招待』
『ふるさとの唄』ほか詩集・書集を多数出版

まとめ

項目 内容
生年・出身 1942年・樺太
師事 青木香流
特長 自作詩による詩文書・漢字かな交じり書
大作 全作品書き下ろし、大作多数
受賞 会員賞、文科大臣賞、毎日芸術賞
役職 書道団体での重責多数
思想 故郷・自然・記憶の心象風景を重視
船本芳雲さんは、現代における詩文書の代表者であり、詩と書が融合した新しい表現価値を拓いた存在です。故郷への想いを作品に込めるその姿勢は、見る者の心にも強い影響を与えています。