伊藤小坡いとうしょうは

時代 昭和時代
カテゴリー 絵画、書画
作品種別 日本画
プロフィール 伊藤 小坡(いとう しょうは、本名:佐登(さと)、旧姓:宇治土公(うじとこ)、1877年(明治10年)4月24日 - 1968年(昭和43年)1月7日)は、三重県宇治山田(現在の伊勢市)に生まれ、京都を中心に風俗画、美人画を描いた日本画家。

伊藤 小坡(いとう しょうは、1877年〈明治10年〉12月8日 - 1968年〈昭和43年〉10月1日)は、日本の女性日本画家で、京都を拠点に活躍した美人画の名手として知られています。優美で上品な画風を持ち、明治・大正・昭和と3時代にわたって活躍した人物です。

■ 基本情報

本名:伊藤 登代(いとう とよ)
号:小坡(しょうは)
生年:1877年(明治10年)12月8日
没年:1968年(昭和43年)10月1日(享年90)
出身地:京都府京都市
画風:美人画、日本画(やまと絵の伝統を受け継ぐ)
所属:日本美術院(のち離脱)、帝展、日展などに出品
■ 経歴と人物像

● 幼少期と芸術的素養
伊藤小坡は京都の染物商に生まれ、幼少の頃から画才を示しました。女性が絵を描くことが珍しかった時代にあっても、絵の道を志し、16歳頃より正式に画業に入ります。

● 竹内栖鳳への師事
1901年頃、近代日本画の巨匠・**竹内栖鳳(たけうち せいほう)**に師事。彼女の作風に見られる気品と写実性は、この師弟関係から大きく影響を受けています。

● 美人画の確立
大正時代には、上村松園と並んで「京都の女流画家」として高く評価されるようになり、特に気品ある美人画で人気を博しました。日本古来の風俗や女性のたおやかさ、奥ゆかしさを丁寧な筆致で描きます。

● 展覧会と評価
帝展や文展などの官展にたびたび出品し、多くが入選。その後、日展にも出品を重ねました。また、帝室技芸員にはなりませんでしたが、その実力は多くの画家や愛好家から高く評価されていました。

■ 作風と代表作

● 作風の特徴
上品で柔らかな色彩
精緻な筆使いによる衣装の文様や髪の描写
やまと絵の伝統を感じさせる構図と余白の美しさ
肖像性よりも理想的な「女性美」の表現に重きを置く
● 主な作品
『春の宵』
『花野』
『古鏡』
『娘道成寺』
『清少納言』
『秋風』
これらの作品には、四季の移ろいや古典文学に取材した主題が多く見られ、知性と情緒を兼ね備えた女性像を描いています。

■ 晩年と功績

晩年まで創作を続け、90歳で没するまで画業一筋の人生を貫きました。
京都画壇の女性先駆者として、また、戦前・戦後を通じて活動した長寿の画家として、その功績は大きく、日本画史における女性画家の地位向上にも寄与しました。
■ 現在の評価

近年は再評価が進み、美術館や百貨店の展覧会などでも作品が取り上げられています。
上村松園ほどの知名度はないものの、美人画や京都画壇研究においては欠かせない存在です。
作品は京都国立近代美術館や東京国立近代美術館、地方の美術館、または個人収集家にも所蔵されています。