福田平八郎ふくたへいはちろう

時代 昭和時代
カテゴリー 絵画、書画,掛け軸
作品種別 日本画
プロフィール 福田 平八郎(ふくだ へいはちろう、1892年2月28日 - 1974年3月22日)は、大分県出身の日本画家。
号は素僊(そせん)、九州。印に「馬安」を用いるが、父・母の名前にちなむ。
鋭い観察眼を基にした、対象がもつ雰囲気、美しさを抽出した表現が特徴とされる。生涯「水」の動き、感覚を追究していたとされ、「漣」は昭和天皇と一緒に魚釣りに行ったときの、池面に映る水面の模様を描写した作品である。

福田平八郎(ふくだ へいはちろう、1892年2月28日 – 1974年3月22日)は、大正から昭和期にかけて活躍した日本画家で、近代日本画に革新的な視覚表現をもたらした巨匠の一人です。伝統的な日本画の技法に立脚しつつも、西洋的な構成美や大胆なデフォルメを取り入れ、自然の美しさを新たな視点で捉えた作品を数多く残しました。

【基本情報】
本名:福田 平八郎(ふくだ へいはちろう)
生年月日:1892年2月28日
没年月日:1974年3月22日(享年82歳)
出身地:大分県大分市
学歴:京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)卒業
師匠:山元春挙(円山四条派の流れをくむ)
【画風と芸術観】
1. 自然の細部に宿る美を探求

福田は身近な自然の中に美の本質を見出し、蓮の葉、流水、雨滴、木の葉など、何気ない自然の一部をクローズアップして描きました。
日常の中にある「新しい発見」や「未だ見ぬ美しさ」を描き出すことを芸術の理想としました。
2. モダンな構成と大胆な省略

西洋絵画に学んだ遠近法や構図のバランス感覚を巧みに取り入れ、伝統的な日本画に現代的な感覚を加えました。
大胆な余白の使い方や、シンプルで洗練された形状の表現によって、作品に独特のリズム感と緊張感をもたらしています。
3. 装飾性と平面性の美

装飾的な色彩感覚と、平面的なデザイン性のある画面構成が特徴です。
モチーフを強調するために、背景をあえて簡略化し、主題の存在感を際立たせました。
【代表作】
《漣(さざなみ)》(1932年)
→ 代表作にして、日本画の近代化を象徴する傑作。水面に広がる波紋の美しさをリズミカルに描き、抽象性と自然描写が高度に融合しています。
《筍(たけのこ)》(1929年)
→ 竹の子の力強い成長をシンプルな形状と鮮明な色彩で表現。生命力の象徴として描かれています。
《雨(あめ)》
→ 降り注ぐ雨粒を視覚的に捉えた斬新な作品。自然現象の一瞬の美しさを切り取っています。
《花菖蒲》(1936年)
→ 菖蒲の凛とした立ち姿を、シンプルながら優美に描いた作品。
【人物像とエピソード】
福田は生涯、自然への深い愛情を持ち続け、「美は細部に宿る」と語っていました。
京都を拠点に活動しつつも、旅や散策を通じて自然の観察を欠かさず、それを独自の視点で作品に昇華しました。
晩年まで探求心は衰えず、戦後も精力的に創作を続け、現代日本画の礎を築きました。
【栄典】
1955年:文化勲章受章
日本芸術院会員
【評価と影響】
福田平八郎は「自然の本質を新しい視点で表現した」日本画家として、戦後の画壇にも強い影響を与えました。
彼の作品は現在も、東京国立近代美術館や京都国立近代美術館、大分県立美術館などに所蔵されており、展覧会では高い人気を誇ります。
抽象と具象の間に位置するその作品は、現代のデザインや建築、美術の分野でも再評価されています。