川合玉堂かわいぎょくどう

時代 昭和時代
カテゴリー 絵画、書画,掛け軸
作品種別 日本画
プロフィール 川合 玉堂(かわい ぎょくどう、本名:川合 芳三郎(かわい よしさぶろう)、1873年(明治6年)11月24日 - 1957年(昭和32年)6月30日)は、日本の明治期から昭和期にかけて活躍した日本画家。

川合玉堂(かわい ぎょくどう、1873年11月24日 – 1957年6月30日)は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家で、特に山水画や風景画において高い評価を受けた巨匠です。自然の美しさと人々の暮らしを、温かみと詩情あふれる筆致で描き、日本人の心に響く「郷愁」の世界を表現しました。戦後には文化勲章を受章し、近代日本画壇を代表する存在となりました。

【基本情報】
本名:川合 芳三郎(かわい よしさぶろう)
生年月日:1873年11月24日
没年月日:1957年6月30日(享年83歳)
出身地:愛知県葉栗郡外割田村(現在の一宮市)
学歴・師匠:
幼少期に土佐派の流れをくむ奥原晴湖に師事
その後、橋本雅邦に学び、正統的な日本画を習得
所属:日本美術院創設に参加、のちに帝展の中心人物
【画風と芸術観】
1. 自然賛美と郷愁の世界

四季折々の自然、里山の風景、農村や漁村の日常といった、日本人の心に響く風景を情感豊かに描きました。
単なる写実ではなく、詩情や感情を込めた「抒情的風景画」が特徴です。
2. 温かみのある筆致と色彩

柔らかな輪郭線と淡く美しい色彩を巧みに組み合わせ、優しさと静けさを感じさせる作品を多く残しています。
雪景色や春の桜、秋の紅葉など、季節の変化を細やかに表現した作品も多いです。
3. 山水画の現代的解釈

中国伝統の山水画を基盤としながら、日本的な自然観と生活感を加味。
仏教的な自然観や「物哀れ」の精神を表現し、見る者に深い余韻を残す作品が多いです。
【代表作】
《行く春》(1934年)
 → 桜が散る春の終わりを描いた代表作。散りゆく花に儚さと美しさが込められています。
《鵜飼》(1935年)
 → 長良川の伝統行事「鵜飼」を描いた名作で、伝統文化への深い愛情が感じられます。
《早春》
 → 雪解けの春先、目覚める自然を描いた作品で、清らかさが印象的です。
《山村秋色》
 → 秋の山里の美しい風景と、そこに暮らす人々の静かな生活を詩情豊かに表現しています。
【人物像とエピソード】
温厚で謙虚な人柄として知られ、生涯にわたって名声や名誉にはこだわらず、自然の中で静かに創作に励みました。
晩年は東京都青梅市御岳渓谷に居を構え、自然とともに暮らす生活を実践。
「自然は最良の師」という言葉を遺し、自然から学ぶ姿勢を生涯貫きました。
【栄典】
1937年:帝国芸術院会員
1944年:帝室技芸員
1945年:文化勲章受章(日本画家としては横山大観に次いで2人目)
【評価と影響】
日本画における風景表現の第一人者として、現在も高く評価されています。
川合玉堂記念館(東京都青梅市)では、多くの作品や遺品が保存・展示されており、多くの来館者が訪れています。
東山魁夷や加山又造など、戦後の風景画家にも大きな影響を与えました。