川端玉章かわばたぎょくしょう

時代	大正時代
カテゴリー	掛け軸,絵画、書画
作品種別	日本画
プロフィール	川端 玉章（かわばた ぎょくしょう、天保13年3月8日（1842年4月18日） - 大正2年（1913年）2月14日）は、日本画家。京都・高倉二条瓦町の生まれ。蒔絵師左兵衛の子。本名・滝之助。 川端玉章（かわばた ぎょくしょう、1842年10月5日〈天保13年8月20日〉– 1913年2月4日）は、明治時代の日本画壇を代表する画家の一人で、特に山水画の名手として知られています。伝統的な南画（文人画）や四条派の技法を礎としながらも、時代に合わせた写実性と格調高い画風を築き上げました。教育者としても活躍し、**東京美術学校（現・東京藝術大学）**の初期の日本画教育に多大な貢献を果たしました。 【生涯と経歴】 ■ 幼少期・画道の修業 1842年（天保13年）、江戸（現在の東京都）に生まれる。 本名は川端茂吉。のちに「玉章（ぎょくしょう）」と号しました。 幼少期より絵画に親しみ、**谷文晁（たに ぶんちょう）**の流れをくむ文人画の技法や、四条派の花鳥画・山水画を学びました。 ■ 明治維新後の活躍 明治政府による日本画再興政策の中で、伝統技法を守りつつ新たな日本画を模索。 **パリ万国博覧会（1878年）**などに作品を出品し、海外からも一定の評価を受けました。 文部省博覧会審査員や帝室技芸員など、国家の美術政策にも深く関わるようになります。 ■ 教育者としての功績 **東京美術学校（現・東京藝術大学）**の設立に関わり、初代日本画科の教授として後進を育成。 教え子には、横山大観、下村観山、菱田春草ら、後の近代日本画壇を支える大画家たちが名を連ねています。 日本画教育の近代的な体系化に尽力し、技術・精神の両面で指導しました。 ■ 晩年と死去 晩年まで作品制作を続け、多くの官展や宮内省関連の作品制作に携わる。 1913年（大正2年）、東京にて死去。享年70歳。 【作風の特徴】 ■ 山水画の大家 自然の風景を題材とした山水画を得意とし、日本的な情緒を大切にした構図と筆致が特徴。 渓谷や滝、松林、田園風景などを繊細に、かつ詩情豊かに描く。 ■ 四条派や南画の伝統を継承 四条派の柔らかく写実的な花鳥画や人物画、文人画の精神を基盤としながら、近代の写生精神も取り入れた中庸な画風を確立。 墨の濃淡と余白を活かした構成力に長け、空気感や季節感の表現に優れる。 ■ 品格ある色調と構成 色彩は落ち着きがあり、派手さよりも品格を重視。 特に官展出品作では、格調高い構図と重厚な表現が見られる。 【代表作】 『秋景山水図』 → 紅葉の美しい秋の山水を描いた代表作。詩的な構成と柔らかな筆致が際立つ。 『四季山水図屏風』 → 春夏秋冬の風景を一対で描いた屏風作品。官展向けの大作として有名。 『洛中洛外図』 → 古都・京都の景観を文人画風に描いた作品もあり、郷愁と歴史的な趣を感じさせる。 【評価と影響】 明治・大正期の日本画壇において、横山大観以前の世代の代表的な画家と位置づけられます。 特に教育者としての功績が大きく、日本画教育の基礎を築いた存在です。 現在でも、東京国立博物館、東京藝術大学大学美術館、山種美術館などに多数の作品が所蔵されています。 【関連資料と近年の動向】 近年は教育者としての再評価が進みつつあり、展覧会や回顧録などでも取り上げられる機会が増えています。 作品は美術市場でも安定した人気があり、特に山水画や四季画は掛軸として高く評価されています。