岸米山きしべいざん

時代 明治時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 日本画
プロフィール 日本画家。竹堂の孫。名は精太郎。幼少より祖父に学び、才を謳われたが、30余才で歿した。京美校卒。明治年間の人。

岸 米山(きし べいざん)は、江戸時代後期から明治初期にかけて活躍した日本の南画家(文人画家)です。特に山水画を得意とし、中国南宗画の伝統に基づいた詩情豊かな作品を多く残しました。書や漢詩にも通じ、典型的な文人画家として知られています。

【基本情報】
名前:岸 米山(きし べいざん)
本名:不詳
号:米山(べいざん)
生年:文化年間(1804年~1818年)頃と推定
没年:明治初期と考えられる(正確な没年は不明)
出身地:摂津国(現在の大阪府周辺)
【人物像と活動】
■ 南画家としての活躍

若い頃から中国画の古典に学び、特に南宗画(南画)の技法に通じていました。
山水画を中心に、花鳥画、人物画も手がけています。
墨の濃淡やにじみを巧みに使い、幽玄で詩情あふれる画面構成が特徴です。
■ 書と詩の素養

書は行書・草書を得意とし、流麗で格調高い筆致を見せました。
漢詩にも深い造詣があり、自作の詩を賛として画面に添える「詩書画一致」の作品を多く制作しています。
■ 交友関係

同時代の文人たちとの交流が盛んで、特に大阪・京都の文人サークルで活動していました。
小室翠雲や冨岡鉄斎など、後の近代南画に影響を与えた人物とも間接的な関係があったと考えられています。
【作風の特徴】
山水画:柔らかな筆致で霧や霞を表現し、静謐で詩情豊かな世界観を描く。
花鳥画:竹石図や梅花図など、清廉なモチーフを好んだ。
技法:余白を大胆に活かし、見る者に想像の余地を残す構成が多い。墨一色の作品が多いが、淡い色彩を加えた作品も見られる。
【代表作品】
「幽谷山水図」
「松下問童子図」
「梅花竹石図」
一部の作品は大阪周辺の旧家や地方美術館に所蔵されていると言われていますが、広く一般公開されているものは多くありません。

【晩年と評価】
晩年は大阪に隠棲し、詩書画に没頭する静かな生活を送ったと伝えられています。
現代においては、江戸後期から明治初期にかけての南画家として再評価されつつあります。
作品は古美術市場でも一定の人気がありますが、中央画壇からはやや距離を置いていたため、知名度は限定的です。