大出東皐おおいでとうこう
時代 | 明治時代 |
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カテゴリー | 掛け軸,絵画、書画 |
作品種別 | 日本画 |
プロフィール | 日本画家。江戸生。名は絢、字は素巧、通称は愛次郎、別号に蝸牛窟。藤堂凌雲の門に学ぶ。花鳥画を能くした。日本美術協会会員・日本画会委員。明治38年(1905)歿、65才。 大出 東皐(おおいで とうこう)は、幕末から明治時代にかけて活動した南画家(文人画家)です。特に山水画や花鳥画を得意とし、詩書画一致の文人趣味を体現した芸術家として知られています。 【基本情報】 名 前:大出 東皐(おおいで とうこう) 生没年:不詳(幕末〜明治初期に活躍) 分 野:南画(文人画)、書 【画号の由来】 「東皐(とうこう)」は、中国の古典『陶淵明の詩』に見られる語句「東皐(とうこう)に遊ぶ」に由来します。これは、田園での隠棲生活や自然との一体感を理想とする文人の心情を表しています。この号からも、大出東皐が文人趣味を重んじ、自然を愛した人物であることがうかがえます。 【作風と特徴】 ■ 南画(文人画) 山水画: 墨の濃淡を活かした淡彩の山水画を多く描き、余白の美しさを重視する構図を得意としました。 中国・明清時代の山水画の影響が強く、遠近法ではなく「高遠法」「平遠法」など伝統的な描き方を踏襲しています。 花鳥画: 四君子(梅・蘭・竹・菊)を好んで描き、詩情豊かな画面構成を見せます。 特に梅花図や竹林図においては、気品ある筆致と自然観を表現しています。 ■ 書 書と画を組み合わせた掛け軸作品が多く、漢詩や自作の詩文を添えることがありました。 書体は行書・草書が中心で、潤いのある筆致とリズム感のある運筆が特徴です。 【活動歴】 詳細な所属や師系は記録に乏しいですが、各地の文人たちと交流し、地方での展覧会や句会、書画会に参加していたと考えられます。 彼の作品は、主に注文制作や贈答品として制作されたものが多く、現存する作品は掛け軸や短冊、扁額などの形態が多いです。 【現在の評価】 美術市場においては、保存状態が良好な作品や題材性の高い山水画が特に人気です。 一般的な評価額は数万円から十数万円程度ですが、署名や落款、共箱の有無によって価値が変動します。 【落款と印章】 落款は「東皐」や「大出東皐」と記されることが多く、雅印には「東皐居士」や「大出」などの文字が見られます。 印は朱文と白文の双方を用い、画面に合わせたバランスの良い押印が特徴です。 |