川崎千虎かわさきちとら

時代	明治時代
カテゴリー	掛け軸,絵画、書画
作品種別	日本画
プロフィール	日本画家。尾張生。通称は源六、のち鞆太郎。孫は日本画家の川崎小虎。はじめ沼田月斎に学び、のち京に出て土佐光文に大和絵を学ぶ。また、有識故実を研究した。明治11年、上京し官職をへて博物館御用掛となる。歴史画家として名をはせ、東京美術学校教授などの要職を歴任、日本美術院の創立に参加した。明治35年(1902)歿、67才。 川崎千虎（かわさき ちとら、1837年1月8日〈天保7年12月2日〉– 1902年11月27日〈明治35年〉）は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した日本画家であり、特に有職故実に通じた歴史画や大和絵の分野で知られています。 来歴と経歴 出生と初期教育：尾張国名古屋（現在の愛知県名古屋市）に生まれ、通称は源六、後に鞆太郎と称しました。父は川崎美政で、絵師としての素養を持つ家系に育ちました。 師事と学び：初めに沼田月斎に師事し、風俗画を学びました。その後、京都に上り、土佐派の土佐光文に師事して有職故実を学び、歴史画の技法を深めました。 官職と教育活動：明治11年（1878年）、上京して上野の博物館（後の東京国立博物館）および東京美術学校で教授として勤務しました。しかし、岡倉天心の校長罷免に伴い辞任し、天心とともに日本美術院の設立に参加しました。 晩年：晩年は名古屋に戻り、大石真虎の画風に親しみつつ、歴史画の制作に励みました。1902年に67歳で逝去し、墓所は多磨霊園にあります。 作風と業績 作風：有職故実に基づいた歴史画や大和絵を得意とし、細密な描写と伝統的な技法を融合させた作品を多く残しました。 著作：明治15年（1882年）に『画人略年表』を編纂し、日本画家の系譜や略歴をまとめた資料として評価されています。 代表作： 「佐々木高綱被甲図」：絹本着色、愛知県美術館所蔵。 「夕涼み風景」：絹本墨画淡彩、愛知県美術館所蔵。 門下生と影響 小堀鞆音：千虎の弟子であり、後に東京美術学校の助教授として共に活動しました。「鞆音」の号は、千虎の通称「鞆太郎」に由来しています。 川崎小虎：千虎の孫であり、幼少期から大和絵に親しみ、後に小堀鞆音に師事して画家として大成しました。 川崎千虎は、江戸から明治への激動の時代において、日本画の伝統を守りつつ、新たな美術教育の礎を築いた重要な人物です。彼の作品や著作は、現在でも日本美術史の研究において貴重な資料とされています。