守住貫魚もりずみつらな

時代 明治時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 日本画
プロフィール 守住 貫魚(もりずみ つらな、文化6年7月11日(1809年8月21日) - 明治25年(1892年)2月26日)は、幕末から明治初期の日本画家。姓は清原のち守住、名は徳次郎、字は士済、幼名伸美(のぶよし)、初号輝美(てるよし)、ついで定輝、そして貫魚と改める。号は是姓斎、回春斎、寄生軒など。子に守住勇魚、守住周魚がいる。

守住貫魚(もりずみ かんぎょ、1791年〈寛政3年〉– 1858年〈安政5年〉)は、江戸時代後期の日本の魚類図譜画家・博物学者です。特に精密な魚の写生で知られ、魚類を中心とした写生図譜の第一人者とされています。彼の描いた魚図は、芸術的価値とともに、学術的にも極めて高く評価されています。

基本情報

氏名:守住 貫魚(もりずみ かんぎょ)
生没年:1791年(寛政3年)– 1858年(安政5年)
別号:琴峰、東江、雲門、文昌堂など
出身地:江戸(現在の東京都)
職業:絵師、写生家、博物学者(特に魚類)、和漢洋の博物図譜制作者
活動の特徴と功績

1. 魚類図譜の名手
守住貫魚の最大の特徴は、実物を精密に写した魚類図譜の制作です。彼の図譜は、単なる美術作品ではなく、当時の日本における自然科学(博物学)的な意味をもつものでした。

特徴は「生け捕りの新鮮な魚を目の前で写生」したこと。
鱗の配列、体の質感、色彩の再現まで細密に描かれており、今でも魚類学・民俗学の研究資料として使用されます。
2. 代表作『魚譜』(うおづくし/ぎょふ)
数百種にも及ぶ魚類の図を含む写生集で、現存しているものは写本として国立国会図書館や国立科学博物館などに収蔵されています。
一部はカラーで彩色されており、鑑賞価値も非常に高い。
3. 医学・本草学との関連
魚だけでなく、一部では薬用植物・水生生物なども描写しており、本草学(薬物学)との関わりも示唆されます。
江戸後期の博物学的知識が図像として残された点で、学術史的にも重要です。
画風と技術的特徴

写実性が非常に高く、科学図としての精度と、美術としての構成美の両立を達成。
絵具の使い方も極めて緻密で、特に魚のぬめり・光沢などの質感描写は他の追随を許しません。
後年の生物画家(例:椿椿山や武田信玄の写生系統)にも影響を与えました。
研究・保存状況

日本の主要な図書館・博物館に、貫魚の作品写本が収蔵。
国立科学博物館(魚類図譜)
国立国会図書館(デジタルアーカイブあり)
京都大学附属図書館
近年は、彼の魚類図が「江戸の生物学的資料」として再評価されており、展覧会や研究論文も増加しています。
関連する人物・分野

平賀源内や貝原益軒などの本草学者
葛飾北斎などの自然観察に秀でた浮世絵師
南方熊楠のような後世の博物学者とも、思想的には通じるものがあるとされる
まとめ

守住貫魚は、江戸後期における自然観察と美術の結合点に立つ稀有な画家です。その作品は単なる魚の絵ではなく、当時の知識人や文化人の「自然を記録し、伝える」という使命感を象徴しています。現在に至るまで、彼の図譜は美術品でありながら、科学的価値をもつ歴史資料として重宝されています。