柴田是真しばたぜしん

時代 明治時代
カテゴリー 漆器製品,掛け軸・書画
作品種別 日本画・漆芸
プロフィール 柴田 是真(しばた ぜしん、文化4年2月7日(1807年3月15日) - 明治24年(1891年)7月13日)は、江戸時代末から明治中期にかけて活動した漆工家、絵師・日本画家。幼名亀太郎、名は順蔵、字は儃然、号は是真、令哉、対柳居、沈柳亭など。日本の漆工分野において、近世から近代への橋渡しする役割を果たした工人である。

柴田是真(しばた ぜしん、1807年〈文化4年〉– 1891年〈明治24年〉)は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した漆芸家・絵師であり、漆芸と絵画の両分野で独自の境地を開いた稀有な芸術家です。伝統技術を踏まえつつも、革新的な表現で明治美術界の国際的名声を築きました。

基本情報

名前:柴田是真(しばた ぜしん)
本名:柴田勇次郎(ゆうじろう)
生年:1807年(文化4年)
没年:1891年(明治24年)
出身地:江戸(東京)
分野:漆芸、日本画、工芸デザイン
号:是真、是々、楳嶺堂(ばいれいどう)など
生涯と略歴

1. 幼少期と漆芸の修行
早くから**蒔絵師(まきえし)**としての修行を始め、古典技法を徹底的に習得。
独自の研究によって、乾漆技法や変塗(へんぬり)技法など新しい漆表現を開発。
2. 絵師としての活動
漆芸のみにとどまらず、南画や大和絵を融合した独自の絵画表現を確立。
鈴木其一の門人とも言われ、江戸琳派の影響も受けつつ独自性を確保。
山水画・花鳥画・人物画など幅広く手がける。
3. 明治期の国際的活動
**パリ万博(1867年)やウィーン万博(1873年)**に漆器作品を出品し、日本の美術工芸が世界で認知される契機をつくった。
明治政府から重用され、**帝室技芸員(今の人間国宝に相当)**にも任命される。
芸術的特徴

漆芸(蒔絵)の革新
技法 内容
乾漆技法 漆を彫刻的に用い、立体感ある表現を実現(絵画的漆芸)
変塗技法 木目や革、石などの質感を漆で模倣する高度な装飾技術
戯画的モチーフ 狐、猫、妖怪、日常の滑稽さなどを蒔絵でユーモラスに表現
絵画の特色
漆の絵師らしく、線が流麗で色彩が豊か。
和漢折衷の作風で、洒脱な筆致と風趣のある構図が魅力。
絵画にも漆芸的な光沢感や装飾性が現れる。
代表作(一部)

分野 作品名 特徴
漆芸 「野菜図蒔絵印籠」 野菜を精緻かつ写実的に描いた漆芸の傑作
絵画 「風俗図巻」 江戸市井の生活を軽妙な筆致で描く長巻絵
漆芸 「漆塗硯箱《浪裏》」 葛飾北斎《神奈川沖浪裏》に触発された大胆な漆芸
絵画 「狐と化け猫」 戯画的、民俗的テーマの絵画作品
教育と影響

自らも門弟を育て、漆芸と絵画の両分野で次代の職人や画家に多大な影響を与える。
明治政府の要請で漆芸指導にもあたる。
**東京美術学校の設立(1887年)**にも関与。
評価と意義

漆芸と絵画の融合を試みた唯一無二の美術家。
明治期の「工芸を美術に高めた」代表的人物。
国内では文人や画家からの高い評価を受け、海外では**“Japanese lacquer genius”**として紹介された。
現存作品と所蔵先

東京国立博物館
サンフランシスコ・アジア美術館
ボストン美術館
メトロポリタン美術館
根津美術館
MOA美術館
まとめ

項目 内容
名前 柴田是真(しばた ぜしん)
生年〜没年 1807年〜1891年
出身地 江戸
主な分野 漆芸(蒔絵)、日本画、工芸デザイン
技法 乾漆技法、変塗、戯画的蒔絵
評価 近代日本工芸・絵画をつなぐ巨匠。帝室技芸員。国際的評価も高い