歌川国綱うたがわくにつな

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 歌川 国綱(うたがわ くにつな、生没年不詳)は、江戸時代後期の浮世絵師。

歌川国綱(うたがわ くにつな)は、江戸時代後期から幕末にかけて活躍した浮世絵師で、歌川国芳の門人とされる人物です。活動期間は短くはないものの、師である国芳ほどの名声は得られず、現存する作品数も限られていますが、武者絵や風景画、役者絵において一定の存在感を持つ絵師です。

基本情報

名前:歌川 国綱(うたがわ くにつな)
号・署名:一陽斎国綱、国綱筆、画工国綱など
生没年:不詳(活動は天保〜安政期〈1830〜1860年頃〉)
師匠:歌川国芳
流派:歌川派(特に国芳系統)
活動と作品の特徴

1. 武者絵
国芳の武者絵スタイルを継承し、合戦場面や歴史上の英雄の勇壮な姿を描いた作品が確認されています。
ダイナミックな構図、動きのある描写が特徴で、師匠の影響が色濃く見られます。
2. 役者絵
歌舞伎役者の似顔や舞台場面を描いた作品も制作。
三枚続の錦絵で構成されることが多く、衣装や所作の再現度に力を入れていたとされます。
3. 風景・風俗画
数は多くありませんが、名所風景や庶民の生活風景なども題材に。
風景では遠近法を取り入れた西洋風の構図を試みた例もあります。
作例(確認されている作品の一部)

「源平合戦図」
「大江山酒呑童子退治図」
「市川団十郎の石切梶原」
「江戸名所之内 両国橋納涼図」
※一部の作品はボストン美術館、大英博物館、太田記念美術館などに収蔵されており、署名「一陽斎国綱」が確認できます。

作風の特徴

構図の安定感と線の明瞭さ:国芳に比べるとやや堅実でおとなしい印象だが、構成力は高い。
細部の描写が丁寧:衣装、刀剣、背景の装飾などに工夫が見られる。
表情は写実的よりは誇張的:登場人物の目力や感情表現に演劇的な要素が強い。
国綱の位置づけ

評価項目 内容
流派 歌川国芳門下、武者絵を得意とする系統
同門との関係 芳年・芳虎・芳幾などに比べるとやや控えめな存在
市場での評価 国芳系の中では中堅に位置づけられ、コレクターからの評価は安定的
教育的役割 国芳の画風を後世に伝える橋渡し的存在でもある
歌川国綱と同門の比較

絵師名 特徴
歌川国芳 奇抜・躍動感のある武者絵の巨匠
歌川芳年 国芳の後継者的存在、明治初期まで活躍
歌川芳虎 横浜絵・西洋風表現を積極的に採用
歌川国綱 比較的保守的で丁寧な作風、堅実な構図
まとめ

項目 内容
名前 歌川国綱(うたがわ くにつな)
活動時期 天保〜安政期(1830〜1860年頃)
師匠 歌川国芳
主なジャンル 武者絵、役者絵、風景画
画風 堅実・明瞭・やや保守的、国芳風の影響あり
現存作品 一陽斎国綱名義で錦絵が多数確認される