歌川豊秀うたがわとよひで

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 歌川 豊秀(うたがわ とよひで、生没年不詳)とは、江戸時代中期の大坂の浮世絵師。

歌川豊秀(うたがわ とよひで)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師で、歌川派の門人のひとりです。美人画や役者絵、風俗画などを手がけ、師である歌川豊国の画風を受け継ぎつつも、独自の柔らかな表現を見せた絵師です。

基本情報

名前:歌川 豊秀(うたがわ とよひで)
画号:豊秀、歌川豊秀、(落款に「豊秀画」など)
活動時期:文化~天保年間(1804年~1844年頃)
流派:歌川派
師匠:歌川豊国(初代)
作風:美人画・風俗画・役者絵
活動概要と作品傾向

1. 美人画
豊秀の代表作は町娘や遊女を描いた美人画。
師の豊国譲りの構図ながらも、豊秀はややおっとりとした表情や柔らかな線描を特徴とし、親しみのある風貌を描いた。
一部の作品では、季節や年中行事に応じた装束や持ち物の描写があり、当時の風俗を反映している。
2. 風俗画・日常の場面
江戸市中の風景や日常生活の一場面を描いた作品もあり、庶民の暮らしぶりを視覚的に伝えている。
例:町の子ども、通行人、屋台などを背景に取り入れるなど、舞台性の高い画面構成も見られる。
3. 役者絵(やくしゃえ)
歌舞伎役者の舞台姿を描いた錦絵も残っており、三枚続や大判での制作があった。
他の弟子たちに比べると数は少ないが、構図の工夫と衣装の細部描写に秀でている。
代表作(例)

「当世三美人図」
「江戸風俗十二ヶ月」
「芝居狂言之図」(三枚続)
「浮世美人図会」
※現存作品の大半は、大判錦絵や中判美人画で、コレクターズアイテムとしても人気があるものです。

画風の特徴

線が柔らかく女性的で、特に美人画においては表情が控えめで上品
師匠・豊国のスタイルを忠実に守りながらも、色彩は淡めで落ち着いた印象
背景の細部に江戸町民文化への細やかな観察眼が現れている
他の歌川門人との比較

絵師名 主な作風 特徴
歌川豊国 美人画・役者絵 歌川派の祖。構図力に優れ豪華絢爛
歌川国貞(豊国三代) 役者絵・美人画 歌川派の売れっ子、ダイナミックな表現
歌川国芳 武者絵・戯画 奇抜な発想力、風刺画でも人気
歌川豊秀 美人画・風俗画 柔らかな筆致、庶民的で温かみのある画風
現存と評価

豊秀の作品はボストン美術館、メトロポリタン美術館、国立国会図書館などに所蔵されていることがあります。
華やかな役者絵や武者絵ではなく、庶民的で情感ある美人画・風俗画に特化した作風として再評価されつつあります。
現代の浮世絵研究者の間でも、豊国門下の中での**「抒情性のある絵師」**として知られています。
まとめ

項目 内容
名前 歌川豊秀(うたがわ とよひで)
活動時期 文化〜天保年間(1804〜1844年頃)
師匠 歌川豊国
主な分野 美人画・風俗画・一部役者絵
特徴 柔らかい線、庶民的な親しみ、抒情的な描写
評価 歌川派の中堅絵師、江戸風俗をよく表現