葛飾応為かつしかおうい

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 葛飾 応為(かつしか おうい、生没年未詳)は、江戸時代後期の浮世絵師。葛飾北斎の三女。応為は号(画号)で、名は栄(えい)と言い、お栄(おえい、阿栄、應栄とも)、栄女(えいじょ)とも記された。

葛飾応為(かつしか おうい)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師であり、あの葛飾北斎の娘としても知られています。応為は本名を**お栄(栄)**といい、その卓越した画才から近年では再評価が進み、日本美術史上でも重要な女性画家の一人とされています。

【基本情報】
名前:葛飾応為(かつしか おうい)
本名:お栄(おえい)
生没年:生年不詳(おそらく1800年頃)– 文久3年(1863年)以降没(正確な没年は不明)
出身地:江戸(現在の東京都)
父:葛飾北斎
【人物像と生涯】
応為は、若いころから父・北斎のもとで絵を学び、その才能は父も認めるほどでした。北斎自身が「自分の娘のほうが色彩感覚において自分より優れている」と語った逸話もあり、その実力は非常に高かったとされます。

応為は一度結婚するも、夫(浮世絵師・椿椿山とも言われます)との不和により離縁し、その後は父・北斎とともに暮らしながら制作を行いました。晩年の北斎の生活を支えつつ、助手としても活動していたとされます。

【画風と作風の特徴】
応為の画風は、父の影響を色濃く受けつつも、光と陰影の表現に独自の感覚を持ち、西洋画的な写実表現や大胆な構図が特徴です。

彼女の数少ない作品からは、女性らしさよりも、職人としての確かな筆致と緻密な観察眼が感じられます。

【代表作】
以下は応為の代表作とされるものです:

■『吉原格子先之図(よしわら こうしさきのず)』

最も有名な作品で、夜の吉原を格子越しにのぞく構図。
光と影のコントラストが巧みに描かれ、応為の画才が最も顕著に現れた傑作とされる。
■『夜桜美人図』

美人画でありながらも、夜の月明かりを表現した繊細な光の描写が印象的。
■『三曲合奏図』

琴・三味線・尺八を演奏する三人の女性を描いた作品で、構図や衣装の描写が極めて緻密。
【応為の作品の特徴的要素】
繊細で柔らかい色彩感覚
光源の描写と陰影の巧妙な表現
女性を題材としながらも媚びない、内面の強さを感じさせる表現
父・北斎が得意としたダイナミックな構図も継承
【再評価と現代への影響】
長らく歴史の陰に埋もれていた応為の存在は、近年の研究や展覧会によって大きく注目されるようになりました。2014年にはNHKでドラマ『眩(くらら)〜北斎の娘〜』が放映され、応為の生涯が広く知られるようになりました。

さらに、漫画『応為図』(山下和美)や展覧会「北斎と応為」(すみだ北斎美術館)なども登場し、現代の視点からも多くの共感を集めています。

【関連施設】
すみだ北斎美術館(東京都墨田区)
応為に関する資料や作品の複製、ドラマ資料の展示などがある
太田記念美術館(東京都渋谷区)
北斎および応為関連の企画展を行うことがある