式亭三馬しきていさんば

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 式亭三馬(しきていさんば、安永5年(1776年) - 文政5年閏1月6日(1822年2月27日))は、江戸時代後期の地本作家で薬屋、浮世絵師。滑稽本『浮世風呂』『浮世床』などで知られる。名は菊地泰輔、字は久徳。通称は西宮太助。戯号は四季山人・本町庵・遊戯堂・洒落斎(しゃらくさい)など。名が久徳で字が泰輔とする文献もある。

式亭三馬(しきてい さんば、1776年 – 1822年)は、江戸時代後期に活躍した戯作者・浮世絵師であり、滑稽本の代表的作家として知られています。本名は菊池泰輔(または久徳)で、江戸・浅草田原町(現在の東京都台東区雷門)に生まれました。父は版木師であり、三馬は幼少期から書物に親しみ、8歳から16歳まで本屋に奉公していました。


主な作品と文学的特徴
三馬の代表作には、滑稽本『浮世風呂』や『浮世床』があります。これらの作品では、江戸庶民の日常生活や会話をリアルに描写し、読者に親しまれました。特に『浮世風呂』では、銭湯を舞台に多様な人物が登場し、滑稽なエピソードが展開されます。また、『浮世床』では、髪結い床を舞台に、客たちの会話や出来事が描かれています。これらの作品は、江戸時代の庶民文化や風俗を知る上で貴重な資料となっています。

三馬の作品は、写実的な描写と庶民の言葉遣いを巧みに取り入れ、読者に親しみやすい作風が特徴です。また、彼の作品は、当時の社会風刺や人間の弱点をユーモラスに描き出しており、滑稽本の代表的作家として高く評価されています。


商業活動と「江戸の水」
三馬は作家活動の傍ら、日本橋本町二丁目で薬屋「式亭正舗」を営んでいました。この店では、彼が考案した化粧水「江戸の水」を販売し、自身の作品内で宣伝するなど、現代の広告手法を先取りしたマーケティングを行っていました。また、息子の式亭小三馬も戯作者として活動し、父の商売を引き継ぎました。


晩年と墓所
三馬は1822年に46歳で亡くなりました。当初は深川の長源寺に葬られましたが、関東大震災後に墓所が損壊したため、現在は東京都目黒区碑文谷の正泉寺に改葬されています。この墓所は東京都指定文化財旧跡として登録されています。

式亭三馬の作品は、江戸時代の庶民文化や風俗を知る上で貴重な資料であり、現代においてもその価値が再評価されています。彼の滑稽本は、当時の社会や人間模様をユーモラスに描き出し、読者に笑いと共感を提供しました。また、商業活動においても先進的な手法を取り入れ、作家としてだけでなく、ビジネスマンとしても成功を収めました。彼の多才な活動は、江戸時代の文化や社会の多様性を象徴する存在として、今なお多くの人々に影響を与え続けています。