懐月堂安度かいげつどうあんど

時代 江戸時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 浮世絵
プロフィール 懐月堂 安度(かいげつどう あんど、生没年不詳)とは、江戸時代前期の浮世絵師。懐月堂派(en)の頭領と見なされる人物である。

懐月堂安度(かいげつどう あんど)

概要

活動時期:江戸時代中期(元禄期~享保期、1700年前後)
出身地:不詳(江戸を拠点に活動)
職業:浮世絵師(特に美人画)
代表作:「遊女図」「立美人図」など
懐月堂安度は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した浮世絵師で、特に大画面に描かれた立ち姿の美人画(立美人図)で知られます。
彼は「懐月堂派(かいげつどうは)」と呼ばれる一派を形成し、後の浮世絵美人画のスタイルに大きな影響を与えました。

生涯と背景

懐月堂安度の生涯については、史料が少なく、詳しい個人情報(生年・出身地など)はほとんど伝わっていません。
ただし、活動時期は元禄年間(1688~1704年)から享保年間(1716~1736年)頃とされ、江戸(現在の東京都)を中心に活躍しました。

彼の師についても確定していませんが、狩野派的な画法(伝統的な日本画)に通じていた可能性が指摘されています。

作風と特徴

1. 大判の美人画
懐月堂安度は、等身大に近い大判サイズで立ち姿の女性を描いた「立美人図」で知られます。
画面いっぱいに一人の女性を描き、その優雅な姿態と洗練された衣装が特徴です。
2. 優美で流れるような線
なめらかな輪郭線で女性の体の線を流れるように描き、柔らかく優雅な雰囲気を醸し出しました。
身体のラインに沿う衣服の流れも自然で、動きのある描写が見られます。
3. 表情と個性
顔立ちは比較的似たタイプが多く、典型的な美人像として表現されています。
落ち着いた中にも艶やかさを感じさせる表情が特徴です。
4. 彩色と装飾
落ち着いた色合いを基調に、着物の模様や帯の意匠などに繊細な装飾を施しており、当時の流行や趣味を色濃く反映しています。
懐月堂派(かいげつどうは)

懐月堂安度は、**「懐月堂派」**と呼ばれる流派を築きました。
この一派には、懐月堂長春、懐月堂度繁、懐月堂安知、懐月堂延慶など、安度の作風を受け継いだ絵師たちがいます。

彼らもまた、美しい立ち美人を描き、江戸中期の美人画に大きな影響を与えました。

代表作

「遊女図」
高級遊女の立ち姿を描いた作品。細部にわたる着物の意匠や品のある姿態が見事です。
「立美人図」
身のこなしや衣装に流麗な美しさを持たせた大作。多くのバリエーションがあり、懐月堂派の典型作とされています。
「美人立姿図」(個人蔵・各地美術館蔵)
顔の描写が均一的ながら、ポーズや着物の柄に工夫が凝らされているシリーズ。
現在、彼の作品は、東京国立博物館、出光美術館、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)などで見ることができます。

懐月堂安度の影響

懐月堂安度が確立した「立美人図」のスタイルは、後に鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿といった浮世絵美人画の巨匠たちに受け継がれていきました。
特に、着物の流麗な表現やポーズの美しさは、浮世絵美人画の基本的な美意識を作る基盤となりました。
まとめ

懐月堂安度は、

江戸中期に活動し
大胆かつ優雅な「立美人図」で
後世の美人画表現に決定的な影響を与えた 重要な浮世絵師です。
謎に包まれた存在でありながら、その作品は「江戸の女性美」を体現し、今なお多くの人に愛されています。