田中佐次郎たなかさじろう
時代 | 昭和12年〜 |
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カテゴリー | 陶磁器全般 |
作品種別 | 伝統工芸・異色作家 |
プロフィール | 田中佐次郎(たなか さじろう)は、1937年に福岡県北九州市で生まれた日本を代表する唐津焼の陶芸家です。半世紀以上にわたり「唐津焼」を基盤としながらも独自の表現を追求し、「陶禅一如」という禅的な哲学を体現する作陶を続けています。85歳を超えた現在も、佐賀県唐津市山瀬の山間に築いた「山瀬窯」で薪を割り、窯を焚き続ける“陶狂(とうきょう)”として知られています。 略歴と歩み 1937年 福岡県北九州市に生まれる。幼少期より土や古陶磁に関心を抱く。 1965年 縄文・弥生土器の発掘調査を通じて手びねり制作を開始。 1971年 唐津古窯址の発掘調査で幻の「山瀬斑唐津」と邂逅。作陶を本格始動。 1975年 唐津市半田の常楽寺境内に初の登り窯を築窯。永平寺で在家得度を受け「陶禅一如」の教えを授かる。 1979年 現代唐津焼を革新した巨匠・加藤唐九郎に師事。 1987年 古窯址だった山瀬に自身の登り窯を移築(山瀬窯)。 2003年 韓国・蔚山に半地下六連房式登窯「亀山窯」を築窯、海外作陶を本格化。 2009年 日本人陶芸家として初めてソウルのロッテ百貨店で個展開催。 2019年 日本橋三越本店で「陶禅一如」展を開催。 作陶哲学と技法 佐次郎さんは「陶禅一如」を旗印に、土と炎、釉薬が即興的に響き合う“偶然性”を最大限尊重する作陶を行います。窯焚きには温度管理やデータ記録を一切行わず、「焼いてみないとわからない」瞬発力を重んじるため、同じ作品は二度と再現されません。釉薬は伝統の斑唐津(まだらからつ)や伊羅保(いらほ)、朝鮮唐津など、唐津焼の諸技法を現代的に解釈し、複雑で豊かな色彩変化を生み出しています。 代表的な作品例 作品名 技法・特徴 サイズ(cm) 発表年 斑唐津茶垸「草の露」 山瀬土+薪窯焼成による斑点表現 φ16.6×H8.0 2023 斑唐津茶盃 自然釉裂と薪窯ならではの窯変 – 2022 伊羅保茶垸「金剛蔵菩薩」 金彩と灰釉の重層的表現 – 2022 朝鮮唐津花入 赤褐色と灰白の対比が鮮烈 – 2021 主な個展・受賞歴 2019 LIXILギャラリー(東京)「陶禅一如」展 2022 婦人画報取材記事掲載「炎の人、田中佐次郎」 2009 ソウルロッテ百貨店(韓国)日本人初個展 2014 スイス・ジュネーブ個展 2016 ニューヨーク個展 影響と評価 茶陶界では「古唐津も高麗茶碗も超えた佐次郎唐津」と評され、国内外の茶人・陶芸愛好家から絶大な支持を受けています。85歳にしてなお制作に情熱を注ぎ続ける姿勢は「陶狂(とうきょう)」とも称され、唐津焼の最前線を牽引し続ける存在です。 田中佐次郎氏の作品は、古陶磁の精神を現代に活かしながら、新たな造形美を生み出す“生きた伝統”の証。今後も陶禅一如の境地を追求し続けるその歩みに注目が集まっています。 |