富本憲吉とみもとけんきち

時代 1886〜1963年
カテゴリー 陶磁器全般
作品種別 現代工芸家・陶芸作家
プロフィール 富本 憲吉(とみもとけんきち、1886年6月5日 - 1963年6月8日)は日本の陶芸家である。1955年、人間国宝に認定された。

富本憲吉(とみもと けんきち)
(1886年8月2日 – 1963年6月8日)
富本憲吉は、日本の陶芸家であり、色絵磁器の分野で重要無形文化財保持者(人間国宝) に認定された人物です。彼は日本の伝統工芸と西洋の美術の要素を融合し、近代陶芸の発展に大きな影響を与えました。

1. 生涯と経歴

幼少期と学び
1886年(明治19年):奈良県生駒郡安堵村(現・安堵町)に生まれる。
1904年(明治37年):東京美術学校(現・東京藝術大学)建築科に入学。
1908年(明治41年):東京美術学校を卒業し、同校助教授となる。
西洋美術との出会い
1910年(明治43年):文部省の留学生としてロンドンに派遣され、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動に影響を受ける。
1911年(明治44年):ドイツやフランスを巡り、ヨーロッパの美術を学ぶ。
陶芸への転向
1913年(大正2年):帰国後、京都の五条坂で陶芸に目覚める。
1914年(大正3年):奈良の三笠山麓に窯を築き、本格的に陶芸制作を開始。
2. 作風と技法

初期の作品
富本の初期作品は、桃山時代の楽焼や伊万里焼の影響を受け、染付や青磁などを手掛けていました。

色絵磁器の確立
1926年(大正15年): 金銀彩色絵の技法 を確立し、これが後の重要無形文化財(人間国宝)指定の根拠となる。
彼の作品は、金や銀の繊細な模様と鮮やかな色彩が特徴であり、格調高いデザインで知られています。
幾何学的なデザイン
西洋の装飾美術の影響を受けた、モダンで幾何学的な意匠を取り入れる。
代表作には、 「金銀彩色絵壺」「色絵金襴手」 などがある。
3. 受賞と栄誉

1955年(昭和30年): 重要無形文化財保持者(人間国宝) に認定。
1961年(昭和36年): 文化勲章 を受章。
4. 代表作

「色絵金銀彩草花文大皿」(東京国立近代美術館所蔵)
「金銀彩色絵壺」(富本が確立した技法を象徴する作品)
「幾何学文様の壺」(西洋のデザインの影響を受けたもの)
5. 富本憲吉の影響

日本陶芸界への貢献
色絵磁器の革新:江戸時代以来の色絵技法を現代的な意匠に昇華。
工芸理論の確立:日本の陶芸界において、工芸美の理論を体系化。
弟子と後継者
富本の影響を受けた陶芸家には、 加藤卓男、八木一夫 らがいる。
6. まとめ

富本憲吉は、日本の伝統陶芸に西洋の装飾美を融合させた 近代陶芸の巨匠 であり、 色絵磁器の第一人者 です。彼の作品は、金銀彩を駆使した豪華で洗練されたデザインが特徴で、日本の工芸史において重要な位置を占めています。

彼の作品は、 東京国立近代美術館や奈良県立美術館 などで鑑賞することができます。