鯉江良二こいえりょうじ

時代 昭和13年〜
カテゴリー 陶磁器全般
作品種別 現代工芸家・陶芸作家
プロフィール 鯉江良二(こいえ りょうじ、1938年 - )は、日本の陶芸家、現代美術家。愛知県常滑市出身。

鯉江良二(こいえ りょうじ、1938年7月27日 – 2020年8月6日)は、常滑焼で知られる日本の陶芸家・現代美術家として高く評価され、多くの展覧会や国際的な評価を受けた作家です。以下、彼の生涯や活動、作品の特徴について詳しくまとめます。

生い立ちと経歴

出身と初期の経験
鯉江良二は、1938年に愛知県常滑市で生まれました。常滑は、約1000年の歴史を持つ日本六古窯のひとつであり、その伝統的な陶芸文化の中で育ったことが、彼の芸術的感性に大きな影響を与えました。
1957年に愛知県立常滑高等学校窯業科を卒業後、日本タイルブロック製造株式会社に入社し、実務を通して土との関わりを深めます。
陶芸研究所と独立
1962年、常滑市立陶芸研究所に入所し、伝統的な技術を学びながらも、やがて1966年には独立。自身の工房を構え、伝統にとらわれない自由な表現を模索していきました。
転機と前衛的な挑戦
1971年頃から、常滑造形集団の一員として活動する中で、伝統的な陶芸の枠を超え、前衛的な試みを積極的に行うようになります。特に、1971年に発表された「土に帰る」シリーズは、衛生陶器を粉砕した粒状材料(シェルベン)を使い、釉薬を施さずに焼成するなど、従来の技法にとらわれない独自のアプローチを示しました。
芸術性と作品の特徴

素材と制作プロセス
鯉江良二は、土と火という原初的な素材に対する探求心を持ち、伝統的な技法だけでなく、現代美術の表現方法も取り入れました。彼の作品は、たとえば「土に還る」シリーズや、反核をテーマにした「チェルノブイリ・シリーズ」など、社会的なメッセージを込めたものが多く、見る者に強い印象を与えます。
前衛と伝統の融合
初期は伝統的な陶芸の技術を学んでいたものの、1960年代以降は前衛的な美術運動(アクション・ペインティングやモノ派など)の影響も受け、既成概念にとらわれない造形表現を展開。常滑という伝統ある産地でありながら、世界の現代美術の動向にも敏感に反応し、新しい表現の可能性を切り拓きました。
作品のメッセージ性
彼の作品は、単に美しい形態を追求するだけでなく、社会や平和への問いかけが込められています。特に、「ノーモア・ヒロシマ」や「チェルノブイリ・シリーズ」では、核兵器の悲劇や放射能被害に対する強い抗議の意思が感じられ、陶芸を通じたメッセージ発信の先駆けとなりました。
展示・受賞歴および活動

国内外での展示
鯉江良二は、日本国内の主要美術館や陶芸展に加え、海外の展覧会にも招待出品され、その独創的な表現で国際的な評価を獲得しました。
1970年:アメリカ・スクリップス大学で開催された「前衛陶芸―6人の日本青年陶芸家―展」
1972年:イタリア「第30回ファエンツァ国際陶芸展」で国際名誉大賞を受賞
1989年:イギリスやその他海外での展示にも参加
教育者としての顔
1992年から2003年にかけて、愛知県立芸術大学の教授を務め、後進の育成にも力を注ぎました。彼の教え子たちは、国内外で高い評価を受ける作家となっています。
主な受賞歴
2001年:第3回織部賞
2005年:中日文化賞(中日新聞社主催)
2008年:日本陶磁協会賞金賞
公募展・招待展の実績
鯉江良二は、多くの公募展や招待展で入選・受賞しており、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、山口県立美術館、出光美術館、さらには国際的な美術館(メトロポリタン美術館、アルゼンチン近代美術館、ヴァクトリア&アルバート博物館など)に作品が収蔵されています。
作品の例と評価

代表作
「のべ皿」
「土に還る」
「証言」
「風土の器」
「チェルノブイリ・シリーズ」など
これらの作品は、彼が陶芸家としての伝統を尊重しながらも、現代的な美意識と社会的なメッセージを融合させた先駆的な試みとして、多くの美術館やコレクターに支持されています。

国際的評価
海外の主要美術館の所蔵リストを見ると、鯉江良二の作品は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界各地で高く評価されており、その革新的な陶芸表現は、日本陶芸の新たな地平を切り拓いたといえるでしょう。
まとめ

鯉江良二は、伝統的な常滑焼の技術を背景に持ちながら、前衛的なアプローチを取り入れ、陶芸と現代美術の境界を超える作品を創り出しました。彼の作品は、単なる美術品としてだけでなく、核兵器や戦争の悲劇に対する強いメッセージを内包し、見る者に深い感動と問いを投げかけます。教育者としても活躍し、多くの後進の育成に貢献した彼の功績は、日本のみならず国際的にも高く評価されています。

参考文献・詳細情報については、Wikipediaの鯉江良二の記事(​
JA.WIKIPEDIA.ORG
)や、各種展示会カタログ、黒田陶苑やリバーリトリート雅樂倶のサイトなどをご参照ください。