紫式部むらさきしきぶ

時代 平安時代
カテゴリー 掛け軸,絵画、書画
作品種別 古筆・墨蹟
プロフィール 紫式部(むらさきしきぶ、生没年不詳)は、平安時代中期の女性作家、歌人。『源氏物語』の作者と考えられている。中古三十六歌仙、女房三十六歌仙の一人。『小倉百人一首』にも「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな」で入選。
屈指の学者、詩人である藤原為時の娘。藤原宣孝に嫁ぎ、一女(大弐三位)を産んだ。夫の死後、召し出されて一条天皇の中宮・藤原彰子に仕えている間に、『源氏物語』を記した。

紫式部(むらさきしきぶ)とは?
**紫式部(生没年:970年頃 - 1019年頃)は、平安時代中期の女流作家・歌人・貴族で、日本文学史上最も重要な人物の一人です。彼女は、世界最古の長編小説とされる『源氏物語』**の作者として知られ、宮廷文化や貴族社会の生活を精緻に描写しました。また、彼女の才知や教養は当時の女性としては群を抜いており、和歌や随筆にも優れた作品を残しています。

1. 紫式部の生涯

① 出身と家柄
**藤原為時(ふじわら の ためとき)**の娘。
父は下級貴族ながらも漢学に秀で、学者として活躍。
当時の女性は公に漢学を学ぶことは少なかったが、紫式部は父の書物を読んで高度な漢文学の知識を身につけた。
② 結婚と夫の死
20代半ばで**藤原宣孝(ふじわら の のぶたか)**と結婚。
しかし、夫は数年後に病死し、未亡人となる。
その後、父の任地(越前)に同行しながら、宮廷文学への関心を深めた。
③ 宮廷での生活
1005年頃、藤原道長の娘・**彰子(しょうし)**に仕える女房(宮廷の女官)となる。
その頃すでに『源氏物語』の一部を書いており、その才能を見込まれて宮廷に招かれた。
宮廷では、和泉式部や赤染衛門と並び、才女として活躍。
④ 晩年
1013年頃に宮仕えを辞めたとされる。
その後の記録は少なく、おそらく1019年頃に亡くなったと推測されている。
2. 紫式部の代表作

① 『源氏物語』
紫式部の代表作『源氏物語』は、日本文学史上最大の傑作とされ、世界最古の長編小説ともいわれます。

源氏物語の概要

全54帖(54章)からなる物語。
主人公・光源氏(天皇の子でありながら臣籍降下した美貌の貴公子)の恋愛遍歴と、彼の死後の子孫たちの物語を描く。
当時の宮廷貴族の恋愛、政治、人生の無常などを繊細に描写。
特に「もののあはれ」(人生のはかなさ、美しさと儚さの共存)という感情を表現することで、後の日本文学に多大な影響を与えた。
有名な場面

「桐壺(きりつぼ)」

光源氏の母・桐壺の更衣が冷遇され、悲劇的な死を迎える場面。
「夕顔(ゆうがお)」

光源氏が愛する女性・夕顔が、謎の死を遂げる場面。
「須磨・明石(すま・あかし)」

光源氏が都を追われ、須磨や明石で隠遁生活を送る場面。
「宇治十帖(うじじゅうじょう)」

光源氏の死後、彼の子孫たちの物語が展開される終盤の部分。
② 『紫式部日記』
宮廷での生活や、藤原道長・彰子・他の女房たちとの関係を記録した日記。
藤原道長に対する皮肉や、宮廷の女性たちへの批評なども含まれており、当時の宮廷の様子を知る貴重な史料。
3. 紫式部のライバルと宮廷文化

紫式部が仕えていた宮廷には、同じく才女として有名な和泉式部や清少納言がいました。

① 清少納言との対立?
清少納言(『枕草子』の作者)は、宮廷で機知に富んだ会話を楽しみ、陽気な性格だった。
一方、紫式部は**「清少納言は軽薄でうぬぼれが強い」**と日記で批判しており、あまり仲が良くなかったとされる。
② 和泉式部との関係
和泉式部は、恋愛詩の名手として知られ、紫式部と比較されることが多い。
ただし、紫式部は和泉式部に対して特に批判的ではなく、むしろ和泉式部の自由な恋愛を評価していたともいわれる。
4. 紫式部の影響

① 日本文学への影響
『源氏物語』は日本文学の最高傑作とされ、後世の文学に多大な影響を与えた。
平安時代の文学は、和歌中心だったが、『源氏物語』によって「物語文学(小説)」が重要なジャンルとなった。
② 日本文化への影響
『源氏物語』は、後の室町時代や江戸時代にも多くの派生作品が作られ、浮世絵や能、歌舞伎の題材にもなった。
現代でも、『源氏物語』は映画やアニメ、マンガなど様々な形でアレンジされ、人気が続いている。
5. 紫式部の評価と伝説

紫式部は、宮廷文学を大成した才女として尊敬される一方、以下のような伝説も残っています。

① 紫式部の名前の由来
本名は不明。
彼女の代表作『源氏物語』の登場人物「紫の上」にちなんで「紫式部」と呼ばれるようになった。
② 紫式部と藤原道長
藤原道長は彼女の才能を高く評価し、娘・彰子の女房として仕えさせた。
しかし、道長との関係が恋愛関係だったのか、単なる主従関係だったのかについては諸説ある。
6. まとめ

項目 内容
生没年 970年頃 - 1019年頃
代表作 『源氏物語』・『紫式部日記』
仕えた人物 藤原彰子(藤原道長の娘)
文学の特徴 繊細な心理描写・「もののあはれ」
影響 日本文学・文化に大きな影響を与えた
ライバル 清少納言・和泉式部
紫式部は、日本文学において最も重要な作家の一人であり、彼女の作品は千年以上にわたって読み継がれています。